北海道警裏金事件

北海道警裏金事件の概要

北海道警裏金事件は2003年11月、北海道警察旭川中央警察署における不正経理が北海道新聞の調査報道によって明るみに出たことに端を発します。この事件は、その後、道内の他の警察署や各部署でも同様の不正が続々と発覚し、関係者が大量に処分されるという事態を引き起こしました。

不正経理の実態

事件の特徴的な点は、捜査協力者が存在するかのように装い、その経費を警視以上の幹部が私的に流用していたことです。さらに、偽の領収書が作成されており、協力者として名前が無断利用された人物は慰謝料を求める訴訟を起こし、勝訴しています。裏金を操作していたのは、主に本部の次席や管理官、さらには各署の次長や副署長たちであり、彼ら自身も裏金を受け取っていました。

事件が発覚して間もなく、当時の警察本部長であった芦刈勝治警視監は定例会見で「不正経理の事実はない」と否定しました。この発言を受け、北海道知事の高橋はるみも道警を支持し、さらなる調査に関しては幕引きを図ろうとしました。しかし、その姿勢はメディアや道民から強い批判を受けました。

市民の追及と内部調査

市民のオンブズマンが中心になって追及を行い、2004年に北海道議会でも問題が取り上げられるようになりました。年が明けてようやく高橋知事と道警本部長が重い腰を上げ、内部調査を開始しました。

2004年2月には、元釧路方面本部長が「自分が退職するまでは裏金が存在していた」と告発する報道がありました。続く3月には、元警部が裏金作りの実態を暴露しました。これらの告発を受け、道警はさらなる内部調査を実施しましたが、調査を担当するメンバーは外部からの視点が欠けている幹部ばかりでした。

自殺と不祥事

2004年8月には、興部警察署長が裏金問題に関して自殺するという衝撃的な事件も発生しました。遺書には自らも裏金を作り受け取っていたことが記されていました。また、冬頃には北見方面本部警備課でも新たな裏金疑惑が浮上しました。

2004年12月、道警は3235人に対して処分を行いましたが、その中には懲戒処分として98人が含まれていました。全体的に見ると、処分の内容はそれほど厳しくなく、この事件の裏金総額は2億5600万円で、道に返還されました。

北海道議会の対応

北海道議会においては、民主党や共産党が百条委員会の設置を提案するも、多くの提案は自民党や公明党によって否決されました。また、道警本部長の辞職を求める動きもありましたが、これも実現しませんでした。

結末とその後

事件後、2005年には民主党の代議士が複数の元道警幹部を業務上横領で告発しましたが、不起訴となりました。さらに、偽造領収書の提出に関しても問題が取り上げられ、当時の警視正が訓戒処分を受けました。

この事件は、北海道警察の信頼を大きく損なう出来事であり、以後の警察改革の必要性も再認識される結果となりました。また、市民の監視やメディアの報道が如何に重要であるかを示した象徴的な事件と言えるでしょう。

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