北満鉄道讓渡協定

北満鉄道讓渡協定について

北満鉄道讓渡協定は、1935年3月23日に東京で満洲国とソ連の間で署名された、北満鉄道（東清鉄道）の買収に関わる重要な契約です。この協定は、満洲国がソ連から北満鉄道を購入することを定めたものであり、当時の政治的背景や経済情勢が影響を与えました。

経緯

1933年5月2日、ソビエト政府から日本政府に対し、北満鉄道の売却に関する意向が示されました。当時、1929年の収益6810万ルーブルは1931年には4060万ルーブルにまで落ち込んでおり、鉄道事業の採算が厳しくなっていました。この状況が、北満鉄道の売却を促す要因となりました。

ソビエト側は2億5000万金ルーブル（約6億2500万円）という価格を設定しましたが、満洲側は2500万金ルーブル（約5000万円）と大きくかけ離れた金額を提示し、最初の交渉は難航します。その後、1933年8月にはソ連が1億6000万円、満洲側が1億2000万円という譲歩をし、交渉が進みました。しかし、日中の緊張が高まる中で、鉄道の売却問題は平和的に解決できる状況ではなくなりました。

その後、1933年9月12日、日本の外務大臣であった内田康哉が1億4000万円の提示をしたことで、償還の詳細な条件が決まりました。この契約では、支払いの3分の2が現物で、残りの3分の1が現金となり、さらに契約締結後の半分が即時支払われることが定められました。

協定の調印とその内容

1935年3月23日、ついに北満鉄道讓渡協定は東京で正式に調印されました。この契約に基づき、現物払いとして函館などから輸出が行われ、3年以上の期間にわたって続けられました。輸出された物資には、機械や銅線、大豆、大豆油、そしてセメントや織物、さらには船舶や緑茶、小麦粉など多岐にわたりました。

このように、満洲国はソ連の所有していた北満鉄道を取得することで、自国の交通網や経済的な基盤を強化する狙いがありました。協定によって、満洲国の交通インフラは向上し、日本との貿易も活発化することが期待されました。

その後の影響

しかし、協定締結直後の状況はそれぞれ異なる展開を見せます。1937年には、鉄道譲渡後にソ連に再移住した元北満鉄道の職員が大規模な弾圧を受けた事例が報告されており、NKVDによる命令第593号がその背景とされています。これにより、ソ連と満洲国の関係は複雑化し、政治的な緊張が再び高まりました。

この協定は、歴史的にも重要な意味を持ち、満洲国とソ連の経済的な関係や当時の国際情勢を考察する際の重要な資料となっています。また、関連項目として、杉原千畝なども挙げられ、当時の人々や事象が、歴史を通じてどのように影響し合ったのかを理解する手助けとなります。

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