北見丸

北見丸と日高丸: 車両渡船の歴史

概要

北見丸（きたみまる）と日高丸（ひたかまる）は、戦後の青函航路で使用された車両渡船です。これらの船は、太平洋戦争による被害からの復旧を目的に1946年に建造され、運輸省鉄道総局と日本国有鉄道（国鉄）が運航しました。両船は青函航路の貨車輸送のために重要な役割を果たしましたが、1954年に発生した洞爺丸台風により共に沈没しました。

運航の背景

日本政府は1946年に、青函航路の貨車運送能力回復のため、GHQからの許可を得て新造船の建造計画を立てました。この計画では、北見丸と日高丸がW型戦時標準船の基本設計を基に作られました。戦後の船体や機械部品は質が低いものが多く後に変更されることもありましたが、北見丸と日高丸は平時用として設計され、運航を開始しました。

建造と性能

北見丸と日高丸はそれぞれ1946年9月と1947年2月に起工し、1948年に就航しました。両船はデッキハウスなしの構造を持ち、従来の船と比較して性能が向上していました。車両積載能力はワム換算で44両であり、後に46両に増強されました。また、両船は設計上の特徴として、ボイラーが6缶装備され、4本の煙突を持っていました。

沈没の経緯

1954年9月26日、洞爺丸台風が襲来しました。この台風により、北見丸は貨車46両を積載して出航準備中に荒天を考慮して避泊し、その後も乱高下と浸水により沈没しました。日高丸も同様に強風の中、浸水が始まり、最終的に全員退船命令が出される前に沈没しました。北見丸では乗員76名中70名が、日高丸では76名中56名が亡くなりました。

環境への影響と復元

洞爺丸台風による沈没後、北見丸は浮揚後にその損傷が大きく修復が断念されましたが、日高丸は修復工事を経て1956年に再就航しました。修復にあたっては、甲板の設計が見直され、機能強化が図られました。特に車両甲板の水密性を高めるため、いくつかの新しい機能が追加されました。

まとめ

北見丸と日高丸は、戦後の交通インフラの回復に寄与しながらも、自然災害により悲劇的な結末を迎えました。これら2隻の設計と運航の歴史は、将来の船舶設計における教訓ともなり、沈没の原因を振り返ることで安全対策が講じられるきっかけとなっています。特に日高丸の修復プロジェクトにより、今後の船舶設計に影響を与える多くのデータが蓄積されています。

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