北見志保子

北見志保子の人生とその影響

北見志保子（きたみ しほこ、1885年 - 1955年）は、日本の著名な女性歌人であり、作詞者としても知られています。本名は川島朝野。彼女は歌の世界で重要な足跡を残した一方、私生活でも多くの波乱に満ちたエピソードがあります。

幼少期と教育

志保子は明治18年に幡多郡宿毛町で生まれました。彼女の父、川島享一郎は自由民権運動に貢献した人物でしたが、経済的には恵まれない家庭環境で成長しました。母の偉大さを後に詠うなど、家族への感謝の思いを大切にしていた彼女は、裁縫の専門学校を卒業後、宿毛尋常高等小学校で教員として教育に携わることになります。

東京への移住と結婚

1906年、志保子は上京し、新たな環境での生活を始めました。1913年には歌人の橋田東聲と結婚しましたが、夫の創作活動への支援が求められる中、彼女自身も詩作に励むようになります。しかし、結婚生活は順調ではなく、夫の弟子である浜忠次郎に惹かれ、最終的には1922年に離婚することとなりました。この時期に書かれた歌が後の名作『平城山』に繋がるとも言われています。

作詞活動と文学への貢献

離婚後も志保子は奈良を経て再び東京に戻り、1924年には浜忠次郎と再婚します。その後の1925年には歌誌『草の実』を創刊し、以降は北見志保子の筆名で本格的に作品を発表します。文学活動も行っており、徳田秋声に師事し、山川朱美の名で小説を書いたこともあります。

1935年、彼女の作品『平城山』が平井康三郎の作曲によりヒットしました。この楽曲は、後に多くの人々に親しまれ、日本の歌謡界において彼女の名を広めるきっかけとなりました。

歌誌への参加と活動

その後、彼女は1935年から北原白秋が創刊した歌誌『多磨』の同人となり、1946年には新たに『定型律』を創刊しました。また、1949年には著名な女流歌人たちと共に女人短歌会を設立し、後進の育成にも尽力するなど、歌の普及に貢献しました。加えて、1952年には『花宴』を創刊し、多くの新しい才能を育てました。

最期と歌碑

彼女は1955年に慶応病院で亡くなりました。享年70歳でした。生前、志保子が教鞭をとった宿毛市立宿毛小学校には、1953年に彼女の功績を称える歌碑が設置されました。この歌碑の除幕式が彼女の最後の帰郷となったのです。

代表的な作品

彼女の代表的な作品には、『平城山』や江戸川区立小岩第三中学校の校歌があります。志保子の業績は、今もなお多くの人々に親しまれ、歌の世界に大きな影響を与え続けています。

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