北野弘久

北野 弘久（きたの ひろひさ）

北野弘久は、1931年に富山県富山市で生まれた日本の法学者で、特に租税法における業績が評価されている。彼は法学博士を持ち、1974年には立命館大学から学位を取得した。日本大学法学部の教授として勤務し、その後名誉教授に就任。彼の専門は、納税者の権利を中心としており、国民の権利としての納税の重要性を強調した「納税者基本権論」を提唱した。

学問と業績

彼の学問におけるプレースホルダーとなっているのは、憲法に基づく視点からの国税不服審判や裁判所での判例研究だ。特に、国民を主体とした批判と研究を進め、多くの論文を書いたことが特徴である。北野は、納税者に対して有利な判決を得るために証人として出廷したこともあり、その活動は高く評価されている。

一時期、彼は租税判例研究の分野で松沢智と並ぶ存在感を示していた。豊田商事事件では被害者のための弁護団長を務め、社会的にも著名な存在となった。さらに、「セブン‐イレブン会計マジックを糾す」という論文では、コンビニ業界における課題を指摘し、セブン‐イレブンの経営方式に疑問を呈した。彼の批判は、印刷直前に抗議があったことから削除されるという事態も起きた。

教育と指導

学問への貢献に加えて、北野は多くの大学で講師としても活躍しており、早稲田大学や明治学院大学などで教鞭を執った。彼はまた、国士舘大学や上智大学、名古屋大学、そしてカリフォルニア大学バークレー校においても身を置いていた。その広範囲にわたる教育活動で、彼は多くの学生に影響を与えただけでなく、法学界におけるリーダーシップを発揮した。

著作活動

北野は、多数の著書を残しており、税法に関する基本的な理論や実務的な研究を行った。著名な著作には『税法の基本原理』や『納税者の権利』があり、これらは税法学における重要な資料とされている。また、彼の研究は日本税法学会や日本財政法学会などの学会でも顕著な影響力を持っている。

社会貢献

彼は「九条科学者の会」の呼びかけ人でもあり、憲法に基づいた情熱的な活動を続けていた。北野の業績は、租税法に関する理論的基盤を確立するとともに、納税者の権利の重要性を一般に広める役割を果たしている。2010年に世を去ったが、彼の研究は今もなお多くの人々に影響を与え続けている。北野弘久の生涯は、法学の発展に寄与し、国民の権利を守るために尽力したことに捧げられたものであった。

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