医学物理士

医学物理士は、放射線を利用した医療が適切に行われるよう、医学物理学の専門知識を駆使して貢献する医療専門職です。

診断分野での役割

医師との連携: 診断における放射線の有用性と安全性のバランスを考慮し、最適な診断が行われるよう医師と協力します。
診療放射線技師との協力: 診断装置や診断画像の品質管理・保証を行い、常に高品質な画像が提供されるように努めます。
研究開発: 放射線診断に関する医学物理学的な研究開発を行い、より高度な診断技術の確立を目指します。

治療分野での役割

医師との連携: 患者個々の状態に合わせて、最適な放射線治療計画を医師と共に作成します。
診療放射線技師・放射線治療品質管理士との協力: 治療装置の品質管理・保証を徹底し、安全で正確な治療を提供します。
線量精度の確保: 患者体内での放射線量分布が、計画通りに実現されているかを検証し、治療効果を最大限に高めます。
研究開発: 放射線治療に関する医学物理学的研究開発を行い、より効果的な治療法の開発を目指します。

歴史

日本における医学物理士の認定は、1987年に日本医学放射線学会(JRS)が実施した第1回医学物理学者認定試験に端を発します。当初は理工学系出身者が主な対象でしたが、放射線医療の高度化に伴い、2002年には診療放射線技師も認定対象に加えられました。2004年の診療報酬改定で高精度放射線治療への医学物理士の関与が求められるようになったことなどから、医学物理士の認知度は高まり、2008年には認定者数は499名に増加しました。

2009年には、日本医学放射線学会と日本医学物理学会(JSMP)が共同で医学物理士認定機構(JBMP)を設立し、現在に至るまで医学物理士の認定事業を行っています。2021年4月現在、医学物理士の資格保有者は1336名です。

医学物理士の認定

医学物理士として認定されるには、医学物理士認定試験に合格後、所定の条件を満たす必要があります。認定条件は医学物理士認定制度規定によって定められています。

医学物理士認定試験の試験科目

試験科目は、医学物理学全般にわたる幅広い知識を問う内容となっています。

医学物理士の主な業務内容

医学物理士は、放射線治療において、以下のような業務を担っています。

1. 治療計画における線量分布の最適化と評価: 患者に最適な線量分布となるよう治療計画を立案し、その精度を評価します。
2. 治療精度の検証と評価: 実際の治療における放射線量の分布が計画通りであることを検証し、その精度を評価します。
3. 治療装置および関連機器の品質保証・管理: 治療に使用する装置の品質を維持・管理し、常に安全で正確な治療が行えるようにします。
4. 治療装置および関連機器の受け入れ試験とコミッショニング: 新しい装置を導入する際に、性能が規定の基準を満たしているかを確認します。
5. 放射線治療の発展に貢献する研究開発: 新しい治療技術や装置の開発に貢献します。
6. 医学物理学に関する教育: 医学物理学の知識を医療従事者や学生に教育し、人材育成に貢献します。

関連情報

医療資格一覧
放射線治療
放射線
* 診療放射線技師

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