医療費控除

医療費控除とは

医療費控除は、所得税および個人住民税において、自分自身や家族にかかる医療費を支払った場合に適用される制度です。この控除は、納税者の所得から特定の医療費を差し引くことによって、課税額を軽減することが目的です。医療費控除は所得控除の一種であり、物的控除に該当します。

種類と適用条件

医療費控除は、従来の医療費控除と、2017年から新設されたセルフメディケーション税制の2つの種類があります。これらは併用することができず、どちらか一方を選ぶ必要があります。

医療費控除の基本条件

以下は、医療費控除を受けるための基本的な要件です：

• - 自身または生計を共にする家族のために支払った医療費であること。
• - 対象期間はその年の1月1日から12月31日までの支出であること。
• - クレジットカードやローンを利用した場合は、実際に立替払いが行われた日が基準となります。また未払い分は翌年の分として扱われます。

控除対象の医療費

医療費控除では、以下に挙げるような費用が控除対象となります：
1. 医療行為にかかる費用：医師や歯科医師が提供する診療に対する支払。疾患や症状に基づく治療費が対象です。予防的な検査や健康診断の費用は基本的に対象外ですが、病気が発見された場合の検査費用は含まれます。
2. 医薬品費用：処方箋がある場合の医薬品購入費や一般薬局で購入した医薬品も対象ですが、健康増進や美容目的の商品は対象外です。
3. 入院に関する費用：病院の部屋代や食事代も控除対象ですが、選択した差額ベッド代は医師の指示がない限り対象外となります。
4. 付添人交通費：通院や入院の際に家族以外の付添人が必要な場合、その交通費は認められますが、家族の付添は対象外です。

控除金額の計算

医療費控除の金額は次の公式で算出されます：

控除額 = 支払った医療費の合計 - 保険金等の補填額 - 10万円　

ただし、総所得が200万円未満の方は、総所得金額の5%が基準となります。この控除額は、医療費の合計が200万円を超えることはありません。

セルフメディケーション税制

2017年から導入された「セルフメディケーション税制」は、健康管理を行う個人のための特例です。スイッチOTC医薬品の購入による控除が受けられ、年間で最大88,000円までの控除が可能です。この制度を利用する際は、事前に健康診断やインフルエンザ予防接種を受けていることが証明されなければなりません。

手続き

医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。申告時には、医療費控除の明細書および医療費が記載された書類を添付します。2017年分以降、領収書の提出は原則不要となりましたが、保存する義務があります。ただし、医療費のお知らせを添付する場合、領収書は必要ありません。

まとめ

医療費控除は、多くの人にとって税負担を軽減させる重要な制度です。控除が可能な医療費には多くの種類があり、正しく理解することで大きな恩恵が得られます。自分や家族の健康管理を楽しみつつ、医療費控除を上手に活用しましょう。

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