十三番目のアリス

『十三番目のアリス』は、伏見つかさによって執筆された日本のライトノベル作品です。イラストはシコルスキーが担当しています。元々は著者のウェブサイトで公開されていた作品であり、第12回電撃小説大賞に応募されましたが、3次選考まで残った後、編集部の目に留まり、電撃文庫（メディアワークス）から2006年8月に刊行が開始されました。

2007年8月に第4巻が発売されて以降、新作の発表は途絶えていますが、著者である伏見つかさは、2010年8月付けの自身のブログで、読者からの質問に対して、現在執筆中の別のシリーズが安定して刊行できていないことなどを含め、自身の力不足であると述べています。しかし、本作の継続を諦めたわけではないとも説明しています。

あらすじ

名家の令嬢である九条院アリスは、クラスメイトであり婚約者でもある鬼百合三月とのデートを楽しみ、充実した日々を送っていました。しかし、そんな穏やかな日常は、突然現れた少女によって奪われてしまいます。

アリスを「十三番目」（サーティーンス）と呼び、自らを「三番目」（サード）と名乗る少女・フェレス。アリスと三月は、抗うこともできずに戦闘に巻き込まれていきます。その中でアリスは、自らの内に眠る真の力に徐々に気づき始めるのでした。

登場人物

メインキャラクター

九条院アリス（くじょういんアリス）
日本有数の名家・九条院家の一人娘。常に誇り高く、理想の自分に近づけるように心がけています。母親譲りの金髪碧眼で、ゴシックロリータの洋服を好みます。3年前に瀕死の重傷を負いましたが、「十三番目のスフィア」の自己治癒機能により一命を取り留めました。三月とは幼馴染かつ婚約者であり、彼を生涯の伴侶として受け入れていますが、頼りなさを感じており、Sッ気全開で従者のように扱っています。
フェレスの襲撃により「十三番目」（サーティーンス）として覚醒しました。
専用武装は銃身444mmの自動拳銃「ジャバウォック」。属性変異（バレルチェンジ）には、射線軸方向にあるものを全て蒸発させるエネルギーカノン「オメガブラスト」（最終形態：バレル「Ω」）があります。

鬼百合三月（おにゆりみつき）
アリスの婚約者でクラスメイト。日に焼けた肌をしており、麦藁帽子を好みます。父親は大企業「マーチヘアグループ」の経営者ですが、当人は帽子屋を営む祖父母の下で暮らしています。お小遣いは月3000円。他人の喜びを自分のことのように感じられる性格で、女の子をエスコートすることは得意ではありませんが、アリスのことを大切に想っています。アリスの窮地にいつでも駆けつける王子様のような存在です。

九条院ラミア（くじょういんラミア）
アリスの母親。かつて「組織」の研究機関でLTスフィアの研究に従事していました。当時の肩書きは、第十二研究室室長「白面金毛」（はくめんこんもう）ラミア・フォックス博士。3年前アリスを「十三番目のスフィア」の力で救った後、「組織」を離れて夫の残した遺産を使い、アリスのための研究を続けています。九条院邸にはほとんど顔を出さないため、アリスからは放蕩母の烙印を押されています。「十二番目のスフィア」を発見したのも彼女です。

リリス・グラム
アリスのクラスに突然現れた転校生。「十二番目」（トゥエルフス）。生まれつきの病気を持っていましたが、スフィアを入れたことにより病気が治ります。普段は全身に純白の衣装を纏っています。三月のことを気に入っています。「組織」を裏切り追われながらも、十三番目であるアリスのことを監視していました。統合型と呼ばれる特殊な型のスフィアであるため、他のスフィアを装備することで同時にそのスフィアの専用武装を呼び出すこともできます。
専用武装は銀の針を打ち出す白銀の拳銃「シルヴィア」。

皇城学院

桐山誠人（きりやままこと）
アリスのクラスメイトでクラス委員。中等部クラス委員会委員長（中等部の生徒会長）も務めています。口調は荒く、鋭い三白眼ですが、同級生や下級生からの信頼は厚いです。

宮田怜奈（みやたれいな）
アリスのクラスメイト。背が非常に高く、スポーツが得意です。実家は有名玩具メーカー「ミヤタ」で、社長令嬢です。性格は掴みどころがなく、その会話は下世話な方向に向かうことが多いです。

皇城瞑（こうじょうめい）
アリス達の後輩で中等部1年生。名字の通り皇城学院理事長の娘で、瑠璃とは姉妹。アリスを慕う下級生達の中でも特に積極的で、アリスの婚約者である三月のことを敵視しています。

皇城瑠璃（こうじょうるり）
皇城学院高等部3年生で、風紀委員長。名字の通り皇城学院理事長の娘で、瞑とは姉妹。ドリル状の縦ロールをした髪型が特徴です。プライドが高いため、口うるさいですが、意外と面倒見がよく他人のことを気にかけています。

「組織」

フェレス・B・フレイア
「三番目」（サード）。第三研究室所属の殺戮人形。Bの一字はミドルネームではなく製造番号です。アリスとの戦闘で暴走しかけ、自殺覚悟で消滅しました。
専用武装は大戦斧「イクリプス」。

ハインツ・フレイ
「組織」の第三研究室室長。二つ名は「斑傀儡」（まだらくぐつ）。フェレスへ歪んだ愛情を注いでいます。

馮如狼（ヒョウ・ルウラン）
「四番目」（フォース）。第四研究室所属の殺戮人形。獣の遺伝子を組み込まれており、ネコのような尻尾と耳がついています。現在は裏切り者のリリスを追っています。
専用武装は青竜刀「迅雷」。

馮（ヒョウ）
「組織」の第四研究室室長。ちょっと不気味な老人です。「合成獣」（キメラ）の研究を行っています。

加賀見構造（かがみこうぞう）
「組織」の第六研究室室長。二つ名は「剥落四魂」（はくらくしこん）。ラミアが「組織」で唯一信用している人物です。

ノエル
「七番目」（セブンス）。第七研究室の殺戮人形。ブルーエデンの防衛が任務です。男性恐怖症ですが三月に対しては拒否反応が出ないらしいです。
専用武装は日本刀「黒蓮」。

エレノア・シュタインベルク
「組織」の第七研究室室長。9歳ながら、世界最高の研究機関NOAで3つ以上の博士号を取得している天才児です。

イリス・ボラッツ
「九番目」（ナインス）。ある事情により第四研究室に所属している殺戮人形。リリスの幼馴染みですが、その記憶は失われています。
専用武装はエメラルド色の鎖。

レイオット・ボラッツ
「組織」の第九研究室室長でしたが、2年前に第四研究室の襲撃にあい死亡しました。

悠里（ゆうり）
「十番目」（テンス）。第十研究室所属の殺戮人形。人間ベースではなく9割が無機材料で作られた人造人間。アリスとの戦闘後、逃走しました。
専用武装は機動装甲「ドレッドノート」。

アレク・フランケンシュタイン
「組織」の第十研究室室長。二つ名は「縫合義体」（ほうごうぎたい）。悠里にも戦闘機能だけではなく人間らしい感情や仕草を付与しています。

組織・団体

皇城学院（こうじょうがくいん）
高等部や中等部をもつ名門私立学校。

「組織」
LTスフィアの研究を主要命題とする組織。

技術・現象

LT（ロストテクノロジー）スフィア
世界各地で発見された極小の球体。適正素体の心臓に癒着・寄生し、その身体能力を格段に向上させる性質をもちます。

殺戮人形（キリングドール）
LTスフィアを心臓に移植された素体のこと。

専用武装（カラミティ）
戦闘に際し各LTスフィア保有者がそれぞれに固有の名称を発声することにより現れる武器。「災厄」（カラミティ、calamity）と呼ばれます。

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