十二人の死にたい子どもたち

『十二人の死にたい子どもたち』

『十二人の死にたい子どもたち』は、作家ショウガ方丁が手がけた長編ミステリー小説です。この作品は、2015年7月号から2016年7月号にかけて『別冊[[文藝春秋]]』に連載され、2016年10月には文藝春秋から発売されました。2018年には文春文庫にて文庫版が刊行され、同作品は漫画化されるに至るなど多くのメディアで展開されています。

執筆背景

この小説のアイディアは10年以上前に浮かび、当時「自殺サイト」を見つけたことが執筆の契機となりました。これまで、SFや歴史物に携わってきたショウガが初めて挑戦したミステリー作品としても知られ、彼の成長過程や少年時代の経験が作品に色濃く反映されています。

あらすじ

物語は、かつての総合病院の一室を舞台とし、集団自殺のために集結した12人の少年少女から始まります。彼らは「集いの場」と名付けられたこの場所で、サイトの主催者の指示に従い、自らの運命を選ぼうとしています。会議の場である多目的ルームには、12の番号が示されたベッドが円形に並び、中央には長テーブルが設置されています。最初の参加者たちが集まる中、すでに1番のベッドに横たわる少年の存在が彼らの心に疑念を生じさせます。

「集い」のルールは全員一致。最初の意見では、ただ一人の反対者が存在しました。物事の核心を追及するシンジロウは、存在するはずのなかった13人目の少年が問題にされることに。しかし、時間が経つにつれ、各々のキャラクターが自らの死にたい理由を語り始め、互いの内面の葛藤が露呈します。

ノブオという参加者は、過去のいじめの結果としての罪悪感を抱えていました。彼の発言が他の参加者たちとの緊迫した交流を引き起こし、自殺への意志が次第に揺らぎます。個々が異なる動機を持ちながらも、一つの場で交わる彼らの対話は、各々の心の痛みを浮き彫りにします。

登場人物

サトシ（1番）: 集いの主催者。家族の自殺経験を持ち、自らも死に取り憑かれている。
ケンイチ（2番）: 中学時代のいじめが原因で自殺願望を抱く。
リョウコ（4番）: 人気芸能人として生きることに疲れ、本当の自分を取り戻すために命を絶ちたい。
シンジロウ（5番）: 不治の病を抱え、自らの死を選びたいと願う。
* ユキ（12番）: 兄の事故死を悔い、一緒に死ぬことで許されると考える。

彼らのやりとりは、個々の物語を聴くことで、自殺というテーマに対する深い洞察を提供します。

書誌情報

この作品は、単行本が2016年に、文庫版が2018年に出版されており、漫画は熊倉隆敏の作画で2017年から2018年に連載されました。さらに、映画化もされ、2019年1月に公開されるなど、多様なメディア展開が行われています。

この作品は、参加者たちの心の内を探ることで、死の先にある希望や再生の可能性を描き出します。集団自殺という重いテーマを扱いながらも、その中で生まれる友情や共感が、読者や視聴者に感動を与えてやみません。

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