十二試特殊飛行艇

十二試特殊飛行艇（H7Y）についての詳細

十二試特殊飛行艇は、1937年に日本海軍がハワイの偵察任務に対応するために開発を始めた飛行艇です。開発は海軍航空技術廠（空技廠）が担当し、試作された機体の略符号は「H7Y」、連合国軍のコードネームは「Tille」として知られています。この飛行艇は、日本本土とハワイ間を無着陸で往復できる、高い航続距離を有する機器を求められていました。

開発の背景と目的

1937年、近未来にアメリカとの戦争が予測される中、日本海軍はハワイ諸島の偵察可能な機体の開発計画を立てました。そこでは特に、無着陸での航続距離が重要視され、5,000浬（約9,260 km）の往復が求められました。計画では、全備重量は18,000 kgで、乗員は4名と定められました。

デザインは岡村純技術中佐が指揮し、極秘で行われました。その結果、1939年には試作機が完成し、双発の高翼単葉飛行艇の形となりました。この機体は、航続距離を徹底的に重視し、アスペクト比の高い主翼を採用、さらに空気抵抗を軽減するために、補助フロートを翼端に引き上げる形式を取り入れました。エンジンはドイツのユンカース社製のディーゼルエンジン「Jumo 205」を使用し、燃料消費の効率にも配慮しています。

試作機の性能と問題点

実際に試作機が完成した後、1939年に行われた飛行テストでは、機体の剛性が非常に低く、尾部や尾翼の捩れや変形が確認されました。このため、実戦で使うには十分な強度を持っていないことが明らかとなりました。また、水上での操縦性にも問題があり、エンジン出力不足から離水も難しかったという課題がありました。

このような性能不足から、内部でもこの飛行艇の有用性に疑問が生じるようになり、低速、非武装、運動性の悪さなどの欠点が指摘されました。最終的に、1939年7月にはこの開発計画は中止されました。この結果、試作機は1機のみが製作され、その後の運用には至りませんでした。

開発の極秘性

他の飛行艇と同様に、十二試特殊飛行艇の開発は当時極秘で行われ、詳細なデータや写真、設計図といった資料は全て失われています。このため、現在ではこの機体に関する情報は限られたものとなっています。

機体の諸元

• - 全幅: 35.0 m
• - 全備重量: 18,600 kg
• - エンジン: ユンカース Jumo 205 水冷直列対向6気筒ディーゼルエンジン（最大600 hp）× 2
• - 最大速度: 約259 km/h（約140ノット）
• - 航続距離: 9,260 km
• - 乗員: 4名

以上が十二試特殊飛行艇の概要です。この機体は日本海軍の航空機開発史の中で、試験的な存在に過ぎませんが、航空機技術の進化における重要な一部を担っています。

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