十五里ヶ原の戦い

十五里ヶ原の戦い

十五里ヶ原の戦い（じゅうごりがはらのたたかい）は、1588年8月に勃発した武将たちの激闘の舞台であり、これは上杉氏の家臣本庄繁長が指揮する上杉・武藤連合軍と、東禅寺義長・勝正兄弟が率いる最上軍との間で繰り広げられました。この戦は歴史的にも重要な意味を有し、現在は山形県の指定文化財（史跡）として保護されています。

背景

出羽国の庄内地域は大宝寺氏（武藤氏）が支配していましたが、戦国時代には家中の内乱が相次ぎ、地域の安定が脅かされていました。そのため、周囲の勢力である上杉氏や最上氏、小野寺氏がこの地域の支配を目論む状況が続いていました。1580年代に入ると、山形城主である最上義光の勢力が急速に拡大し、庄内にもその影響を及ぼすようになります。この頃、大宝寺氏の尾浦城主・大宝寺義氏は、本庄繁長の支援を受けて最上氏の攻勢に対抗しました。

1583年、大宝寺氏は最上氏に内通した一揆で家中が混乱し、義氏が急襲され自害となりました。その後、義氏の弟義興も攻撃を受け、自らも自害に追い込まれます。本庄繁長は義興の養子として小国城に避難し、こうして大宝寺氏は上杉氏の影響下に置かれていきました。

戦の展開

1588年の1月、最上氏の内紛に伊達政宗が介入し、これを機に義光は庄内での兵を動かします。上杉の景勝もこの大混乱の中で庄内を奪うために兵を動かします。8月には、景勝が本庄繁長と大宝寺義勝に尾浦城の攻撃を命じ、最上軍との対峙が決定されました。両軍は十五里ヶ原で激突します。

最初は最上軍が数の上で優位でしたが、繁長の事前の準備が功を奏し、戦は上杉・武藤連合軍のペースで進行します。最終的に、最上軍の指揮官義長が戦死すると、その弟勝正も続いて本陣に突撃するも、繁長に討たれることとなります。この戦後、最上軍は朝日山城での抵抗も虚しく敗れ、庄内地方は上杉氏の支配下に入ります。

戦後の影響

敗戦を経て、大宝寺義勝は尾浦城に復帰し、最上家は庄内地方の支配を失い、勢力は後退します。この結果、上杉氏の影響力が更に強まりました。戦後、少数の領地に収束した最上義光は、他の勢力との関係を再構築せざるを得なくなり、さらに関ヶ原の戦いでの徳川氏に対抗するために防波堤となる動きが見られるようになります。義光は庄内を再び奪還するまでに、約13年の歳月を経ることとなるのです。

逸話

この戦闘中に、勝正が繁長に斬りかかった際に使っていた刀が正宗であったことから、その名は「本庄正宗」と名付けられ、その後、様々な武将の手に渡ることとなりました。また、繁長が使用していた兜には刀傷があり、これも歴史的な価値を持っています。

十五里ヶ原古戦場

現在、戦いの舞台である十五里ヶ原古戦場は、1980年に山形県の文化財として指定され、歴史を伝える重要な地点となっています。所在地は山形県鶴岡市友江字中野となっています。

この戦いは今でも多くの文献に取り上げられ、戦国時代の激動を示す重要な出来事の一つとして認識されています。

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