十代の夏

十代の夏 (Rentrée des classes)

1955年に公開されたフランスの短編映画『十代の夏』（原題：Rentrée des classes）は、ジャック・ロジエ監督の初期作品であり、彼の映画制作における第2作目にあたります。この作品は24分という短い時間の中に、子供たちの夏の日の無邪気さと、少しのいたずら心、そして日常の風景を鮮やかに切り取っています。

作品概要

原題である「Rentrée des classes」は「新学期」を意味し、物語はまさに新学期を目前にした子供たちの日常を描いています。舞台は南フランスのヴァール県にある小さな村、コラン。この村の子供たちがそのまま出演者となり、自然な演技と風景が作品にリアリティを与えています。特に印象的なのは、少年が澄んだ川を下っていくシーンで、その映像は瑞々しく、ヌーヴェルヴァーグの初期作品としての評価も頷けます。

あらすじ

夏休みの宿題を終えていない少年ルネは、友人から「カバンごと川に落としてしまえば、先生への言い訳になる」と唆されます。彼はその言葉を真に受けて、本当にカバンを川に捨ててしまいます。学校の門まで来たものの、カバンがないことに気づき、ルネはカバンを探しに川を下ることに。苦労の末、カバンを見つけますが、彼はつい水遊びに夢中になり、小さな蛇を追いかけるうちに、さらに時間を忘れてしまいます。最終的に、ルネはその蛇を教室に持ち込み、友人たちのノートに挟み込むといういたずらを仕掛けます。これを発見した生徒たちは大騒ぎになり、教室はパニックに陥ります。

物語の途中には、モーツァルトのオペラ『魔笛』の「夜の女王のアリア」が挿入歌として用いられ、そのユーモラスな演出も作品の特徴の一つです。

キャスト

ルネ・ボリオ：少年ルネ役
ジャン・レミ：先生役

作品の魅力

『十代の夏』の魅力は、何と言っても子供たちの自然な演技と、南仏の美しい風景が織りなす映像美にあります。物語はシンプルでありながら、子供たちの心理描写や、夏の終わりの少しの寂しさが巧みに描かれており、観る者の心を捉えます。また、ヌーヴェルヴァーグの先駆けとして、後の映画界に与えた影響も大きく、映画史的にも重要な作品として評価されています。

外部リンク

* 十代の夏 - IMDb（英語）

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