十和田丸 (初代)

十和田丸（初代）について

十和田丸（とわだまる）は日本国有鉄道（国鉄）の青函航路における車載客船です。この船は1954年の洞爺丸台風で失われた洞爺丸の代替船として1956年に新たに造船されました。後に石狩丸と改名され、車両渡船に改造されました。

建造の背景

洞爺丸台風では、洞爺丸を含む5隻の船が沈没しました。洞爺丸は沈没後浮揚されたものの、復旧には多額の費用がかかると見込まれたため国鉄は新しい船の建造を決定しました。この結果、1956年11月に新三菱重工神戸造船所に十和田丸の建造を発注しました。

造船技術と安全対策

十和田丸の建造に際しては、過去の事故からの教訓をもとに運輸省は安全性を高めるための設計委員会を設置しました。事故時の沈没原因とその対策、設計の見直しが行われ、十和田丸は先進的な性能を持つ安全な船として建造されました。特に、動揺周期を11秒以上に延ばす設計が施され、横揺れを抑える工夫がされています。

船体構造

十和田丸は全長120m、幅17.4mの船体を持ち、7層構造の複雑な内部レイアウトをしました。客室や機関室、中甲板と車両格納所が配置されており、車両の積載量を確保しています。特筆すべき点は、船尾に後述の水密扉が設置されていることです。これにより、水密性が格段に向上し船体の安全性が強化されました。

航海甲板と操縦室

航海甲板は船の操縦のための重要な場所で、操舵室の他、無線通信室やエンジンの指令系統を管理する装置が設置されています。内部は広々としており、船の操縦に必要な機器が配置され、視界も考慮されています。

客室の設計

艤装された客室は、2等と3等があり、各等級ごとに異なる仕様が設けられています。客室の広さや利用動線が重視されつつも、当初は簡素なデザインとなっていました。運航に伴い、旅客需要に応じた改善が施されるなど、利便性が追求されました。

乗客と貨物の流れ

十和田丸は、就航後すぐに旅客需要が増加し、特に大雪丸や羊蹄丸など他の連絡船と共に多くの旅客を運びました。ひいてはこの船が果たした役割は、地域の経済活動と観光の活性化にも寄与しました。

運航と改造

1966年、貨物需要の増加に応える形で、十和田丸は車両渡船へ改造される運命が決まりました。改造工事後、石狩丸に改名され、再就航を果たしました。

結論

十和田丸は青函航路の歴史において重要な役割を果たした船ですが、その改造を経て石狩丸として新たな時代を迎えました。船舶の設計や運航の改善、拡張された貨物輸送能力は、鉄道輸送の発展に寄与しました。

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