十津川警部「オキナワ」

十津川警部「オキナワ」

西村京太郎の長編推理小説『十津川警部「オキナワ」』は、2008年に光文社から刊行されました。本作は、西村京太郎の得意とする鉄道ミステリーであり、沖縄都市モノレール、通称「ゆいレール」が初めて登場する作品としても知られています。

ストーリー

物語は、東京のビジネスホテルで発生した殺人事件から幕を開けます。被害者は出稼ぎ労働者を装っていましたが、身元は偽りでした。十津川警部と亀井刑事が捜査に乗り出すと、被害者が残したダイイングメッセージは「ヒガサ…」という血文字でした。

捜査の結果、沖縄出身者に多い「比嘉」という姓が浮上し、十津川警部らは沖縄へ向かいます。そこで出会ったのは、那覇の旅行会社に勤務する添乗員の比嘉ミドリ。彼女の案内でゆいレールに乗るうち、事件の背後には沖縄が抱える「米軍基地」問題が絡み合っていることが明らかになっていきます。

登場人物

警視庁捜査一課
十津川省三：警視庁の敏腕警部。
亀井定雄：十津川の相棒。

その他
比嘉ミドリ：那覇の旅行会社に勤務する添乗員。物語のキーパーソン。
比嘉サキコ：ミドリの姉。東京で働いているが、ミドリは彼女の現状を心配している。
仲宗根雄介：ミドリの親族に頼まれ、サキコを探しに東京へ行くが行方不明になる。
吉田夫婦：ミドリの旅行会社でツアーを申し込んだ老夫婦。夫は工場経営者で、沖縄への工場進出を検討している。
大学生5人組：ミドリの旅行会社でツアーを申し込んだ若者たち。
戸田秀明：音楽プロデューサー。ミドリはサキコの行方について相談する。
スバルの社長：戸田が所属する音楽事務所の社長。
D.C.スタントン：ゆいレールで見かける怪しいアメリカ軍人。
伊地知春江：ミドリの親族。生活に困窮した仲宗根を雇う。
伊地知太郎：春江の息子。母とともに漁具会社を経営。
阿久根：太郎の部下。
比嘉大輔：沖縄県警の警察官。ミドリ姉妹と同じ姓。
糸数：沖縄県警の警部補。十津川たちの捜査に協力。
川上：沖縄県警の警察官。
城間：沖縄本島の救急病院勤務医。米軍絡みの事件を憂慮。
小田中：ミドリの勤務する旅行会社の社長。ミドリを気遣う。



『十津川警部「オキナワ」』は、鉄道ミステリーとしての面白さはもちろん、沖縄の抱える複雑な事情に触れた作品としても読み応えがあります。ゆいレールを舞台に繰り広げられるサスペンスを、ぜひお楽しみください。

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