十色定理

Plastic Treeの15枚目のオリジナルアルバム『十色定理』は、2020年3月25日にJVCケンウッド・ビクターエンタテインメントから発売されました。

前作『doorAdore』から約2年ぶりとなる本作は、既発シングル「インサイドアウト」「潜像」に加え、新録曲8曲を収録した全10曲で構成されています。特筆すべきは、新録曲8曲がメンバー4人それぞれによる作詞作曲である点です。有村竜太朗の発案によるこの構成は、各メンバーの個性が色濃く反映された楽曲群を生み出しました。

アルバムタイトルの『十色定理』は、数学の「四色定理」に着想を得た造語です。これは、「平面上のいかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗り分けるには4色あれば十分だ」という定理から派生し、多様な音楽性を表現するアルバムのコンセプトを象徴しています。収録曲全てにミュージック・ビデオが制作されている点も、本作の特徴の一つです。アーティスト写真およびアルバムジャケットは、42ndシングル『潜像』に引き続き、カメラマン中野敬久とデザイナー河島遼太郎が手掛けています。

リリース形態は完全生産限定盤と通常盤の2タイプ。CDの収録内容は同一ですが、完全生産限定盤はBOXパッケージ仕様で、収録曲全10曲をそれぞれシングルカットし、「オリジナル」「インストゥルメンタル」「デモ」の計3曲を収録したマキシシングルCD10枚、DVD「プラっと語リー酒〜十色定理編〜」、80ページのフォトブックレットが付属します。この完全生産限定盤の構想は、リーダーの長谷川正によるもので、「10曲だからこそ面白いパッケージにしたい」という思いから、アルバムの存在価値を高め、プレミアム感を演出することを意図したものです。

収録曲は以下の通りです（全編曲：Plastic Tree）。

1. あまのじゃく
2. メデューサ
3. 潜像
4. C.C.C.
5. remain
6. スウィング・ノワール
7. インサイドアウト
8. Light.Gentle.and Soul.
9. 月に願いを
10. エンドロール。

アルバム発売に合わせて、2020年3月27日から5月6日にかけて全国ライブハウスツアーが予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により全公演が延期となりました。その後、振替公演としてコンサートホールでのツアーが企画されましたが、こちらも感染再拡大により一部公演が中止となりました。最終的には、9月22日に神奈川県民ホールでの2公演のみが開催され、夜公演は有料ストリーミング配信も行われました。

『十色定理』は、Plastic Treeの新たな音楽性を提示し、困難な状況下でも音楽を届けようとする彼らの姿勢を示す作品となりました。

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