千々岩助太郎

千々岩 助太郎の生涯とその業績

千々岩助太郎（ちぢいわすけたろう）は、1897年に生まれ、1991年に亡くなった日本の建築家として、その生涯にわたって建築分野に多大な影響を与えた。佐賀県出身の彼は、名古屋高等工業学校で建築を学び、卒業後は広島や名古屋、宮崎の旧制中等工業学校で教壇に立つ。

台湾での活動

助太郎は、1925年に台湾に渡ると、台北州立台北工業学校（現在の国立台北科技大学）で建築学科の教員となり、台湾の先住民文化に深く関わるようになった。台湾における彼の重要な業績の一つは、先住民の住居を詳細に観察し、調査し、記録したことである。彼は登山家精神を持ち、現地の文化や住環境を理解するために積極的にフィールドワークを行った。1940年には台北工業学校の校長としても活動し、台湾建築会に加入、建築会誌の編集にも携わった。

日本への帰国と後の活動

1947年に228事件が発生した影響で日本に帰国した後、助太郎は文部省教育施設部九州出張所の所長に任命され、さらに九州の大学校舎の設計にも従事した。1960年には「台湾高砂族の住家」という著作を出版し、これによって1962年には九州大学から工学博士号を授与される。彼の業績は台湾の建築文化の理解を深める方法として非常に評価され、特に彼の記録は貴重な資料として後の研究者たちにも影響を与えている。

退官後の活動

助太郎は1966年に退官し、その後は九州産業大学で学長を務めた。1980年代には台湾の南投県日月潭において、先住民の住居を設計し、彼の知見を活かして地域文化の発展にも寄与した。彼の活動は建築業界に留まらず、文化交流の促進にもつながっていく。

晩年と遺産

助太郎は1991年に福岡市内で生涯を終えたが、彼の子である千々岩力は「台湾原住民族との交流会」の世話人代表を務めるなど、助太郎の業績を引き継いでいる。さらに、彼を記念する特別展が2006年に台湾の文化村で開催され、2009年には国立台北科技大学に博物館が設立されるなど、助太郎の功績は今なお多くの人々に評価され続けている。

彼の研究は、単に建築デザインの枠を超え、台湾の多様な文化や歴史に対する理解を深めるための重要な基盤を提供した。彼の偉業は、今後も台湾と日本、そして建築学の発展に寄与していくことでしょう。

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