千一夜の鍵

『千一夜の鍵』

『千一夜の鍵』は、さいとうちほによる日本の漫画作品で、小学館の『プチコミック』にて2000年10月号から2001年9月号まで連載された連作短編シリーズです。単行本は全3巻、文庫版は全2巻で刊行されています。本作は、「かける」「閉じる」「外す」「開ける」といった鍵をテーマに、時代や場所を異にする11のオムニバス形式で物語が展開されます。各話に登場する猫の「チュチュ」は、作者の愛猫がモデルとなっています。

各話のあらすじ

女王さまのたそがれ（2000年10月号）

かつて少女漫画界の女王と呼ばれた万里は、結婚を機に引退。しかし、漫画家の夫の浮気が発覚し離婚を決意します。漫画家として再起を図るも、ブランクや夫の妨害により上手くいきません。そんな中、見つけた小さな鍵は、開かずのスーツケースの鍵でした。

上海スナイパー（2000年11月号）

1930年の上海を舞台に、出自を隠して日本人として生きる李駿明（リイ・チュンメイ）の物語。彼は、ある取引のため親日家の温博士に近づこうとします。娘の月華（ユエホワ）の日本語教師となった駿明ですが、月華は彼の正体を知らず恋心を抱きます。

君のためのアリア（2000年12月号）

横領の疑いをかけられた銀行員の乙音（おとね）は、身を守るためにホテルに逃げ込みます。そこで、盲目のオペラ歌手・聖（あきら）と出会い、予期せぬ関係を持つことになります。

異人館の午後（2001年1月号）

昭和28年の神戸を舞台に、名門女学院に通うバイオリニストを目指す少女・里世（りせ）の物語。ソ連から亡命してきたアレクセイの個人レッスンを受ける中、里世は彼の秘密を目撃してしまいます。

鋼のブレスレット（2001年2月号）

海鮮料理屋の娘・翠とフランス料理店の息子・太郎は、犬猿の仲でした。同級生の結婚式で手錠で繋がれてしまった二人は、鍵を失くしてしまい、翌日の料理対決を控えた太郎は窮地に立たされます。

天使のいる部屋（2001年3月号）

母親の愛情を感じられない5歳の花乃（かの）は、入ってはいけないと言われている部屋の鍵を見つけてしまいます。

ドロボウの紋章（2001年4月号）

保険調査員のもなかは、怪盗スペードの正体が実業家ビスマークだと疑っています。スペードの次の犯行を防ごうとするもなかの元に、ビスマークからパーティーの招待状が届きます。

悪魔の契約書（2001年5月号）

魔術師レビの求愛を拒否したアンは、幼なじみのエドガーと結婚します。しかし、レビの逆恨みによりエドガーは虎に変えられてしまいます。アンはエドガーを元に戻すため、レビに立ち向かいます。

禁じられた扉（2001年6月号）

日本画家・冬守（とうじゅ）に憧れる美大生の奈月は、冬守の故郷で彼の息子・羽流彦（はるひこ）と出会います。奈月は羽流彦から冬守の絵の秘密を聞き、冬守に嫌悪感を抱き始めます。

魅せられた愛撫（2001年7月号、「禁じられた扉」の続編）

冬守を死なせてしまった罪悪感から、奈月は羽流彦を忘れ世界を放浪していました。画廊の社長に見初められ個展を開いた奈月の前に、再び羽流彦が現れます。

スペードの王子（2001年9月号掲載、「ドロボウの紋章」の続編）

インターポールとFBIから怪盗スペードの捜索協力を要請されたもなかは、スペードが捕まって欲しくないと思っていました。もなかは、前回盗難事件の際にスペードから預かっていたネックレスを盗まれてしまい、スペードに盗み返す協力を依頼します。

書誌情報

さいとうちほ 『千一夜の鍵』

小学館・フラワーコミックス（全3巻）
2001年2月24日発売、ISBN 4-09-135281-2
2001年6月26日発売、ISBN 4-09-135282-0
2001年10月26日発売、ISBN 4-09-135283-9
小学館・小学館文庫（全2巻）
2006年11月15日発売、ISBN 4-09-191527-2
* 2006年11月15日発売、ISBN 4-09-191528-0

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