千住火力発電所

千住火力発電所の歴史と特徴

千住火力発電所は、東京都足立区に位置し、1926年から1963年まで東京電力によって運営されていた火力発電所です。この発電所は隅田川の近くにあり、その特徴的な煙突群は地元住民から「お化け煙突」と親しまれています。初代の発電所は1905年に設立され、短期間しか稼働しませんでしたが、1926年に新たに建設された発電所は区域の電力需要に応え、発電業界において重要な役割を果たしました。

初代の千住火力発電所

最初の千住火力発電所は、東京電灯が電力の需要増加に対応するために建設されたものでした。認可出力は4,500kWで、最新の蒸気タービンが導入されおり、当初は10,000馬力の能力を持つことを目指していましたが、資源価格の高騰を受けて計画は縮小されました。この発電所は1917年に閉鎖されました。

新千住火力発電所の建設

第一次世界大戦後、日本は水主火従から水火併用へとシフトし、東京電灯は新しい火力発電所の建設を決定しました。関東大震災後の都市計画に基づき、南足立郡千住町に新しい発電所が建設されることとなり、隅田川沿いという立地は燃料の運搬に便利でありました。1926年に運転が開始され、当初は予備発電所の役割を果たしていましたが、順次基地の拡張が行われ、最終的には75,000kWの発電能力を持つに至りました。

お化け煙突の存在

この発電所の象徴とも言える煙突群は、高さ83.82mを誇り、特に地元住民から「お化け煙突」として知られています。煙突が「お化け」と呼ばれる理由は、稼働が少なかったため煙があまり見えないことや、見る角度によって煙突の本数が変わることによります。この特徴から、地域のランドマークとして多くのメディアに登場することになりました。

第二次世界大戦とその後

戦争中は重要な電力供給の施設として運営され、本格的な発電が実施されました。東京大空襲などの戦争による影響も受けることはなく、戦後も稼働が続けられました。しかし、石炭の質が低下し、1963年には稼働停止に至ります。最後の煙突の解体が決定された際には、住民の間で反対運動が起こり、一部の住民は84時間にわたって煙突に篭城する事態にまで発展しました。

跡地の現状

現在、千住火力発電所が存在していた場所には、資材センターや東京電力の営業施設が立地しています。また、足立区立郷土博物館には模型が展示されており、往時の発電所の姿を知ることができます。かつての「お化け煙突」は、昭和の名所として多くの映画や文学作品にも訪れる重要な存在でした。

登場作品と文化的影響

千住火力発電所は、多くの映画やアニメ、小説などに登場し、東京の文化や歴史に深く刻まれています。例えば、1953年の映画『煙突の見える場所』や、アニメにおいてもその姿が描かれることが多く、地域住民に親しまれてきた証ともなっています。これらの作品を通じて、発電所の存在がどう文化に影響を与えたかも興味深い点です。

千住火力発電所は、ただの火力発電の場所ではなく、東京の歴史や文化を語る上で欠かせない施設でした。

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