千葉勝美

千葉勝美

千葉勝美（ちば かつみ、1946年8月25日生まれ）は、日本の法曹界において顕著な足跡を残した人物です。彼は元最高裁判所判事であり、弁護士としても活躍しました。西村あさひ法律事務所のオブカウンセル、公益財団法人全日本スキー連盟第三者委員会の委員長も務めました。趣味は野鳥の撮影という、知的なイメージとは異なる一面も持ち合わせています。

経歴

北海道出身の千葉勝美は、1970年3月に東京大学法学部を卒業後、司法研修所に入所しました。1972年3月に司法研修所を修了（24期）し、同年4月に判事補に任官。東京地方裁判所を皮切りに裁判官としてのキャリアをスタートさせました。

1982年4月には判事に任命され、その後、最高裁判所秘書課長兼広報課長、最高裁判所民事局長兼行政局長、甲府地方・家庭裁判所長、最高裁判所首席調査官などの要職を歴任しました。2008年11月には仙台高等裁判所長官に就任し、2009年12月28日には最高裁判所判事に任命されました。

2012年12月16日の最高裁判所裁判官国民審査では、信任を得ましたが、罷免を可とする票も4,698,942票（8.14%）ありました。2016年8月24日に定年退官し、後任には菅野博之が就任しました。2017年11月3日には秋の叙勲で旭日大綬章を受章しています。

主な担当審理

千葉勝美は、裁判官として数々の重要な事件を担当しました。その中でも特に注目されるのは、以下の事件です。

光市母子殺害事件弁護団懲戒請求事件（2011年7月15日、最高裁第二小法廷判決・陪席裁判官）: この事件では、弁護士の懲戒請求の是非が争われました。
千葉市中央区強姦事件（2011年7月25日、最高裁第二小法廷判決・裁判長）: 原審の有罪判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡しました。
神戸市質店主強盗殺人事件（2011年12月12日、最高裁第二小法廷・裁判長）
生活保護の老齢加算廃止違憲訴訟（2012年4月2日、最高裁第二小法廷判決・裁判長）: 生活保護基準の改定の適法性が争われました。
闇サイト殺人事件（2012年7月11日、最高裁第二小法廷決定・裁判長）: 一審・二審で死刑判決が出ていた被告に対し、無期懲役判決を確定させました。後に被告は別の事件で死刑が確定しています。
沖縄密約情報開示訴訟（2014年7月14日、最高裁第二小法廷・裁判長）: 情報公開の在り方が争われました。

退官後

退官後、千葉勝美は第一東京弁護士会に弁護士登録し、西村あさひ法律事務所のオブカウンセルに就任しました。また、公益財団法人全日本スキー連盟第三者委員会の委員長としても活動しています。

人物

裁判官としての豊富な経験と、弁護士としての専門知識を活かし、法曹界に貢献しています。趣味の野鳥撮影を通じて自然に親しむなど、多才な人物です。

著作

[時の判例]「地方自治法242条の2第1項1号に基づく差止請求の対象の特定の程度／地方自治法242条の2第1項1号に基づく公金の支出の差止請求がその対象の特定に欠けるところはないとされた事例――最3小判平成5・9・7」、『ジュリスト』1994年1月1-15日号（No.1037）。
[時の判例]「大阪府知事の交際費に係る公文書の大阪府公文書公開等条例（昭和59年大阪府条例第2号）8条4号又は5号該当性／大阪府知事の交際費に係る公文書の大阪府公文書公開等条例（昭和59年大阪府条例第2号）9条1号該当性――最1小判平成6・1・27」「大阪府水道部が事業の施行のために行った懇談会等に係る公文書の大阪府公文書公開等条例（昭和59年大阪府条例第2号）8条4号又は5号該当性――最3小判平成6・2・8」、『ジュリスト』1994年6月1日号（No.1045）
* [時の判例]「国税徴収法の定める第２次納税義務の納付告知と国税通則法70条の類推適用――最3小判平成6・12・6」「地方税法348条2項ただし書にいう「固定資産を有料で借り受けた」とされる場合／市が公共の用に供するために借り受けた土地につき固定資産税を非課税とすることができないのに非課税措置を採ったことによる損害と右措置を採らなかったならば必要とされる右土地の使用の対価の支払を免れたという利益とは損益相殺の対象となるとされた事例――最3小判平成6・12・20」「普通地方公共団体が収入の原因となる契約を締結するため一般競争入札を行う場合に最高制限価格を設定することの許否／普通地方公共団体が一定額を超えない価格で不動産等を売却する必要がある場合と随意契約――最1小判平成6・12・22」、『ジュリスト』1995年5月1-15日号（No.1066）

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