午前3時

松山千春が手掛けた楽曲「午前3時」（ごぜんさんじ）は、彼の音楽活動における通算27枚目のシングルとして、1988年12月21日にリスナーのもとに届けられました。このシングル作品は、当時の松山千春の精力的な活動の一端を示すものであり、彼の作品リストに新たなページを加えることとなりました。

この「午前3時」という楽曲は、実はシングルのリリースに先立つこと約1ヶ月、すなわち1988年11月に発表されていた彼のアルバム『Message』にすでに収録されていました。アルバム『Message』は、この時期に松山千春が生み出した重要なアルバムの一つであり、そこから「午前3時」が選ばれ、シングルとして独立してリリースされる運びとなったのです。シングル盤には、「午前3時」をメイン楽曲（A面）として、そして「Say」という楽曲がカップリング（B面）として収められています。この「Say」もまた、先のアルバム『Message』に収録されていた楽曲であり、メイン曲と共にシングル化された形です。

ここで注目すべきは、「午前3時」およびカップリング曲の「Say」について、アルバム『Message』に収められたバージョンと、今回シングルとして発表されたバージョンとでは、編曲が異なっているという点です。同じ旋律や歌詞を持つ楽曲でありながら、シングル化されるにあたり、新たなアレンジが加えられました。この編曲の変更は、楽曲の印象を異なったものにし、アルバム版とはまた違ったサウンドアプローチでリスナーに届けられました。なぜ編曲が変更されたのか具体的な理由は示されていませんが、シングルという形態に合わせたサウンド作りや、楽曲の新たな魅力を引き出す試みであった可能性が考えられます。この異なる編曲の存在は、楽曲を多角的に楽しむ要素となっています。

シングル・バージョンとして発表された「午前3時」は、後年リリースされた作品にも収録されることになります。具体的には、1990年に発表された松山千春のベストアルバム『起承転結 V』に、このシングル盤に収録されたアレンジのまま収められました。『起承転結』シリーズは、彼のキャリアを代表する楽曲を集めたベストアルバムであり、その中でも重要な位置を占める『起承転結 V』に選ばれたことは、「午前3時」という楽曲、特にそのシングル・バージョンが、松山千春の作品群において一定の評価や重要性を持っていたことを示しています。このベストアルバムを通じて初めてシングル・バージョンに触れたリスナーも少なくないことでしょう。

総じて、「午前3時」シングルは、1988年に発表された松山千春のアルバム『Message』から生まれた派生作品でありながら、独自の編曲を持つことでアルバム版とは一線を画す存在です。カップリング曲「Say」と共に、同年12月21日にリリースされ、その後のベストアルバムにも収録されるなど、彼の楽曲史において特筆すべき一枚と言えます。

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