半分こ

テレビドラマ『世にも奇妙な物語』の一篇『半分こ』

『半分こ』（はんぶんこ）は、1990年7月12日に放送されたテレビドラマ『世にも奇妙な物語』のエピソードの一つです。この回はシリーズの第16作目として位置付けられており、他には「くせ」、「死ぬほど好き」などが同時に放送されました。物語は主婦の英子を主人公に展開され、彼女の日常を通じて友情や裏切り、不倫といったテーマが描かれています。

ストーリーの概要

物語は、主婦の英子がスーパーで特売品の数量に困っているところから始まります。そこで彼女は、山岸緑という女性と出会い、一緒にその特売品を「半分に分ける」ことを提案します。この交流をきっかけに、英子と緑は様々なものを共有し、お互いの生活に関与し始めます。普通の友情のように思えた彼女たちの関係は、やがて不穏な方向へ展開していきます。

英子と緑は、「半分こ」という考え方を基に、物の分け合いを続けていたのですが、ある日インコを半分こにすることが決まります。しかし、実際にはインコを物理的に半分にすることは不可能です。そこで、彼女たちは交代でインコを飼うことにします。
その後、関係が進展する中で、英子は帰ってきたインコが彼女の夫と同じ言葉を喋ることに気付き、ある疑念を抱くようになります。
英子は緑が夫と不倫をしているのではないかという考えが頭から離れず、次第に彼女の心は不安定になっていきます。
ある日、英子は怒りに駆られて包丁を持ち出し、緑を追い出します。その後、彼女は涙にくれ、自分の感情の整理ができずにいます。

陰惨な結末

物語はさらに衝撃的な展開を迎えます。次の日、英子の元に見知らぬ大きな荷物が届きます。そこで、緑から電話がかかってきて、今度は夫を「半分こ」することを提案されるのです。荷物の底からは血が滴り落ちており、中にいたインコも「半分こ、半分こ」と繰り返し喋ります。この異常事態に英子は恐怖を覚え、緑への悲鳴をあげます。その声を聞いた緑は満足げに受話器を置くのです。

このエピソードは、友情の裏に潜む嫉妬や不倫といったダークな側面を鋭く描き出しており、視聴者に強烈な印象を与えます。友人同士の信頼関係が一瞬で崩壊する様子は、恐怖と同時に人間関係の脆さも示唆しているのです。

スタッフとキャスト

『半分こ』のスタッフには、企画を担当した小牧次郎と石原隆（フジテレビ）が含まれています。また、プロデューサーには佐藤敦、北島和久、日比生信義（日活）が名を連ね、監督は村上修が務めました。
原作・脚本は北川悦吏子が手掛け、演出を両沢和幸が行い、音楽は蓜島邦明が担当しました。
キャストには、主婦の英子役に柏原芳恵、友人の緑役に香坂みゆき、英子の夫役に富士原恭平、配達人役には井原利昌が起用されています。

この物語は、単なる友情の物語から一転して、不倫や裏切りが絡む心理劇へと変貌することで、多くの視聴者に衝撃を与えた作品として記憶されています。

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