半夏厚朴湯

半夏厚朴湯（はんげこうぼくとう）は、漢方医学において用いられる処方の一つです。医療用医薬品と、薬局で販売されている一般用医薬品（市販薬）があります。独特の匂いがあり、味は苦く飲みにくいため、錠剤タイプの漢方薬も存在します。

概要

半夏厚朴湯は、主に「咽中炙臠（いんちゅうしゃれん）」と呼ばれる、のどのつかえ感がある場合に用いられます。この「咽中炙臠」とは、まるで喉に焼いた肉が引っかかっているような感覚を指します。原因が特定できないのどの異物感や、憂うつな気分の改善にも応用されます。

保険適用エキス剤の効能・効果

医療用として保険が適用される半夏厚朴湯エキス製剤は、以下の症状や疾患に対して効果が認められています。

気分がふさぎ、のどや食道に異物感がある場合の、不安神経症、神経性胃炎
つわり
せき、しわがれ声
神経性食道狭窄症
不眠症
周期性嘔吐症

また、半夏厚朴湯は脳卒中患者の嚥下反射低下を改善し、咳反射も改善することが報告されています。高齢者の誤嚥性肺炎のリスクを低下させ、経口摂取を維持する効果も示唆されています。長期にわたり経鼻経管栄養を余儀なくされていた高齢者が、半夏厚朴湯による嚥下反射の改善によって経口摂取に移行できた事例も報告されています。

組成

半夏厚朴湯は、以下の5つの生薬から構成されています。

半夏（はんげ）6.0g
茯苓（ぶくりょう）5.0g
厚朴（こうぼく）3.0g
蘇葉（そよう）2.0g
生姜（しょうきょう）1.0g

副作用

半夏厚朴湯の服用により、まれに以下の副作用が現れることがあります。

発疹
発赤
そう痒

その他

ツムラの医療用漢方製剤では、16番が半夏厚朴湯エキスとして販売されています。
クラシエ薬品では、KB-16が半夏厚朴湯エキスとして販売されています。

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