半膜様筋

半膜様筋（Semimembranosus）は、人間の下肢に存在する筋肉です。この筋肉は、股関節と膝関節の動きに深く関わる二関節筋であり、その構造と機能は複雑です。

起始と停止

半膜様筋は、坐骨結節という骨盤の一部から起始します。起始部から下方へ向かい、膝関節の内側で特徴的な停止の仕方をします。半膜様筋腱は、内側側副靭帯の下方で三つの部分に分かれます。

1. 第1部: 前方へ向かい、脛骨の内側顆に停止します。
2. 第2部: 膝窩筋の筋膜に移行します。
3. 第3部: 斜膝窩靭帯として関節包の後壁に入り込みます。

この三分割された停止部は、特に深鵞足とも呼ばれます。

神経支配

半膜様筋は、脛骨神経（L5～S2）によって支配されています。この神経は、腰椎と仙椎から伸びる神経根から構成され、筋肉の運動を制御する重要な役割を担っています。

作用

半膜様筋は、股関節と膝関節の動きに影響を与えます。主な作用は以下の通りです。

股関節の伸展: 股関節を後ろに伸ばす動作を補助します。
膝関節の屈曲: 膝を曲げる動作を行います。
* 膝関節の内旋: 膝を内側に回す動作を補助します。膝関節が屈曲した状態での内旋に作用します。

ハムストリングスとしての役割

半膜様筋は、大腿二頭筋、半腱様筋と共に、ハムストリングスと呼ばれる筋肉群を構成します。ハムストリングスは、大腿後面に位置し、膝関節の屈曲や股関節の伸展といった動作に協調して働きます。これらの筋肉群は、歩行、走行、跳躍など、日常生活における様々な動作において重要な役割を果たしています。

半膜様筋は、スポーツ活動においても重要な筋肉であり、特にランニングやジャンプなどの動作において、推進力や安定性をもたらします。そのため、半膜様筋の柔軟性や筋力を維持することは、怪我の予防やパフォーマンス向上に繋がります。

深鵞足
縫工筋、薄筋、半腱様筋の腱が脛骨粗面の内側に付着する部位を鵞足と呼びます。
半膜様筋腱の停止部である、三分割された部分を特に深鵞足と呼びます。

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