南ベトナム共和国

南ベトナム共和国とは

南ベトナム共和国（Cộng hòa Miền Nam Việt Nam）は、ベトナム戦争下の1969年に樹立された社会主義国家です。ベトナム共和国に対抗する勢力として、南ベトナム解放民族戦線（ベトコン）を中心に、民族民主平和勢力連合や人民革命党が結集し、臨時革命政府を樹立しました。

建国と臨時政府

南ベトナム共和国は、当初から北ベトナムの支援を受けており、その傀儡政権と見なされることが多いです。臨時政府は、南ベトナムのみを統治する立場を主張し、ベトナム統一については北ベトナムに一任していました。そのため、正式な政府を持つことなく、1976年に消滅するまで臨時政府として機能しました。

歴史

1969年6月8日、南ベトナム解放民族戦線（NLF）が中心となり、臨時革命政府が地下政府として設立されました。当初、政府閣僚はカンボジア国境に近い「鉄の三角地帯」と呼ばれる地域に隠れ、活動していました。1973年のパリ和平協定によって、ベトナム共和国と同等の政治主体として認められると、タイニンを拠点に移しました。

臨時政府は「平和・民主・中立の南ベトナム」を掲げ、東側陣営や非同盟諸国の一部から国家承認を受けました。1970年から非同盟諸国のオブザーバーとなり、1973年には正式な一員となりました。1972年のイースター攻勢で占領したロックニンを拠点とし、1975年のサイゴン陥落後は南ベトナム全土を掌握しました。

しかし、臨時政府の主要閣僚は、NLF内の労働党員で占められており、南ベトナム共和国政府消滅後は北ベトナムの軍・労働党関係者が本格的に進駐し、臨時政府の影響力は限定的でした。結局、正式な政府に発展することなく、1976年7月2日にベトナム社会主義共和国が樹立され、南ベトナムは北ベトナムに併合される形で消滅しました。

政府と閣僚

南ベトナム共和国には正式な政府が存在せず、臨時革命政府がその役割を担っていました。この臨時政府の閣僚はすべて、南ベトナム解放民族戦線の一員でした。

標語と国歌

南ベトナム共和国の標語は「Độc lập - Dân chủ - Hòa bình - Trung lập」（独立・民主・平和・中立）でした。国歌は「Giải phóng miền Nam」（南部解放）でした。

まとめ

南ベトナム共和国は、ベトナム戦争という特殊な状況下で誕生し、短期間で消滅した国家です。その存在は、ベトナムの複雑な歴史を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

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