南北問題

南北問題

南北問題とは、先進国と発展途上国の間に存在する経済的な格差を指し、1960年代に注目されるようになりました。この現象は、世界の豊かな国々が北側に、貧しい国々が南側に分布していることから「グローバル・ノース」と「グローバル・サウス」と呼ばれることが一般的です。日本では「南北問題」という短い表現が用いられますが、通常、文脈によっては「南北間の経済格差」と表現されることが多いです。

概念の起源

南北問題の概念は、1959年にオリヴァー・フランクスがアメリカ合衆国で行った講演に由来します。彼は、イデオロギーや軍事的対立とは異なる経済的課題として、先進工業国と開発途上国の間の問題を提起しました。特に、冷戦時代においては、経済的な援助が地政学的な利益と結びついていたため、この問題はより重要なものとされました。

歴史的背景

19世紀末、世界経済が成立する中で国際分業が進展しましたが、この際に植民地の経済は主に資源供給に特化しました。特にアフリカやアジアでは、植民地支配が経済の特化を進め、他の地域との格差が固定化しました。第二次世界大戦後、多くの国は農業中心の経済を営んでいましたが、その後の技術革新や国際的な経済状況の変化により、経済格差はさらに拡大しました。

国際的な取り組み

1960年代には、南北問題の解決に向けて国際連合貿易開発会議（UNCTAD）が設立され、開発途上国の経済成長を支援するための制度が確立されました。国際的な援助機関や法案が次々と設立され、例えばアメリカの対外援助法や日本の海外経済協力基金などがその一例です。これらの取り組みは、開発途上国の工業化を目的とし、多くの国が資本を輸入して工業化を試みましたが、しばしば失敗に終わり、貿易赤字と対外債務の増加を招くこととなりました。

1970年代の動向

1970年代には国連で「第2次国連開発の十年」の決議が採択され、先進国がODAをGNPの0.7%にする目標が設定されました。しかし、1973年の石油危機は発展途上国にとって逆風となり、特に資源ナショナリズムが高まる一方で、他の途上国は深刻な対外債務を抱える事態に陥りました。

現代における南北問題

2000年代以降、冷戦の終結とともに南北問題の構図は変化し、環境問題や新たな経済的挑戦が浮上しました。先進国は環境対策を強く求める一方、途上国は開発優先の立場を取ることで新たな摩擦が生じているのです。このように、南北問題は単なる経済格差だけでなく、国際的な力関係、文化、政治の複雑な絡まりを持っているため、解決が難しい問題となっています。

地域レベルの南北問題

地球規模での南北問題に加え、地域の中でも格差が存在します。例えば、日本では東京を中心とした南部と、過疎化が進む北部の格差が問題視されています。他にも、イタリアやフランス、イギリスにおいても地域により経済格差が見られ、政治的な対立や地域の発展に影響を及ぼしています。

結論

南北問題は複雑な性質を持ち、その解決には国際的な協力と理解が必要です。経済格差を解消し、持続可能な発展を目指すための取り組みがますます重要となっています。

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