南国土佐を後にして

『南国土佐を後にして』

『南国土佐を後にして』は、武政英策によって作曲・作詞された日本の歌謡曲であり、その後に映画化もされ、多くの人々に親しまれています。元は中国大陸に派遣された陸軍朝倉歩兵236連隊の中で自然発生的に生まれた歌とされており、高知県にゆかりのある兵士たちが歌っていたとされています。特にこの楽曲は、土佐の民謡「よさこい節」を後半部分に組み込んでおり、非常に地域色豊かな作品と言えます。

戦後になると、この曲は復員兵によって高知県に持ち帰られ、地元のソングとして広まりました。ペギー葉山のバージョンがヒットしたことで、全国的にその名が知られることになりました。武政は原曲の歌詞を改編し、戦争を連想させるフレーズを集団就職の若者をイメージさせるものに置き換えた結果、より多くの人々に共感を呼ぶ作品となりました。実は、この曲は山下達郎の恩師を思い、武政が作ったものとも言われています。

様々なアーティストのカバー

この曲は多くのアーティストにカバーされていますが、特に丘京子のバージョンが1953年に反響を呼び、これを機に日本マーキュリーからシングルとして発表されました。丘京子のレコーディングは、高知市の川村時計店で行われ、レコードとしてリリースされることになります。また、丘は1961年に公開された映画『次郎長社長よさこい道中』に芸者として出演し、この曲を歌っています。

一方、鈴木三重子のカバーは1955年に実施されましたが、それほど大きな話題にはならなかったようです。1958年にはペギー葉山が、NHKでの特番でこの曲を演奏し、瞬く間に全国的なヒットを記録しました。彼女のバージョンは1959年のキングレコードからのシングルとして登場し、約100万枚ものセールスを記録しました。その後、さらにヒットを重ね、歴史的な一曲となりました。

ペギー葉山の活躍は続き、1989年にはNHK紅白歌合戦にも出場し、その後も名誉県人として高知県から称えられました。2012年には高知市の公園に歌碑が設置され、彼女の歌声が流れる仕掛けも施されております。

映画『南国土佐を後にして』

ペギー葉山のヒットを受けて、1959年には映画『南国土佐を後にして』が公開されました。この映画は日活が製作し、小林旭が主演しました。物語は、賭博の罪で服役した原田譲司が更生を誓い故郷の高知に戻るが、様々な障害に直面する様子を描いています。故郷に戻った譲司は、因縁のある地元のヤクザとの再会や、昔の仲間との再会を通じて困難に立ち向かう姿が描かれています。

映画の中でペギー葉山が自らを演じ、この曲を高らかに歌います。このシーンは非常に印象的で、映画を見た観客に深い感動を与えました。国の心情や故郷への思いを表現したこの作品は、今でも多くの人々に愛されています。

『南国土佐を後にして』は、曲としてだけでなく、映画としても日本の文化に名を刻んだ作品であり、地域の魅力を感じさせる重要なアイコンとなっています。

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