南曲輪町 (前橋市)

南曲輪町（みなみくるわちょう）

南曲輪町は、群馬県前橋市にかつて存在した町名です。この町域は、現在の前橋市中心市街地に位置する大手町一丁目、大手町二丁目、紅雲町一丁目、紅雲町二丁目、本町一丁目、そして表町一丁目のそれぞれの一部にあたる地域を指していました。

地理的には、前橋市の市域の中央部に位置しており、古くから市街地の一角を占めていたと考えられます。

この町の歴史は、近代に入ってからの行政区画の再編に端を発します。具体的には、1873年（明治6年）に、それまで独立した地名であった「前橋水曲輪」と「内柿ノ宮」が合併して、「南曲輪町」という新しい町名が誕生しました。これは、明治維新後の地方行政制度の整備が進められる中で行われた措置でした。

南曲輪町はその後、前橋の行政区画の変遷と共に位置づけを変えていきます。1889年（明治22年）には、近隣の30の町と11の大字が合併し、東群馬郡に「前橋町」が成立した際、南曲輪町はその構成町の一つとして組み込まれました。さらに、そのわずか3年後の1892年（明治25年）に、前橋町が市制を施行して「前橋市」となったことに伴い、南曲輪町は新たに誕生した前橋市の正式な町名となりました。

南曲輪町としての名称は、昭和後期まで維持されました。しかし、都市計画の進展や住所表示の簡明化を目的とした住居表示に関する法律の施行を受けて、1966年（昭和41年）に前橋市で大規模な町名変更が実施された際、南曲輪町はその区域が見直され、廃止されることになりました。旧南曲輪町の地域は、その方角に応じて複数の新しい町に分割・編入されました。

具体的には、旧南曲輪町の北西部は大手町一丁目の一部となり、その北部は大手町二丁目の一部として編入されました。町の南西部は紅雲町一丁目に組み込まれ、その南部は紅雲町二丁目の一部となりました。さらに、旧南曲輪町の北東部は本町一丁目の一部に、南東部は表町一丁目にそれぞれ編入され、これにより「南曲輪町」という町名は公式な記録から姿を消しました。

南曲輪町は明治初期の成立から廃止されるまでの約90年間、前橋市の町名としてその歴史を刻みました。現在、その区域は複数の町に分かれていますが、かつての町域は今も前橋市の重要な地域の一部として受け継がれています。南曲輪町の名称は旧町名として歴史の中に残るのみですが、その果たした役割は前橋市の発展の過程において無視できないものです。

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