南極氷床

南極氷床の概要

南極氷床（なんきょくひょうしょう）は、南極大陸の98%を覆っている巨大な氷の塊で、地球上で最も大きな一つの氷の集合体です。これは地球の面積のほぼ1400万平方キロメートル、体積は約3000万立方キロメートルに達し、地球上にある淡水の約61%を占めます。南極の氷床は2つの主要部分に分かれ、東南極は大きな陸塊の上にあり、西南極は海面下2500メートルより深い場所にある岩盤の上に位置しています。

温暖化の影響

過去50年を振り返ると、西南極氷床は温暖化が進み、特に冬と春にその影響が顕著です。その結果、10年ごとにおおよそ0.1度以上の気温上昇が観察されています。東南極では秋に寒冷化する傾向も見られますが、全体としては気温が上昇しています。

NASAが2002年に発表した調査によると、1979年から1999年の期間において南極では氷が増加している地域が減少している地域よりも多いという結果が示されました。この割合は約2:1です。この調査を受けて、一部の専門家は、今後もこの傾向が続けば、地球温暖化の影響で南極氷床がさらに厚くなるとの主張がありました。

しかし、近年の観測データにより、南極の氷の総量が実際には減少し始めていることが分かってきました。特に2008年に報告された研究では、西南極氷床がバランスを崩し、氷の喪失が深刻であることが示されました。この現象の要因の一つは、パイン島氷河などの氷流が加速していることに起因しています。さらに2009年には、以前は安定していると考えられていた東南極でも氷量の減少が確認され、懸念が増しています。

IPCC報告との関わり

国連の気候変動に関する政府間パネル（IPCC）が発表した第4次評価報告書では、海面上昇に関する予測が提示されましたが、その中で氷床や氷河の融解の変化を考慮していませんでした。報告書では最大59cmの海面上昇が算出されていますが、最近の研究結果を踏まえると、今世紀中に海面上昇が1メートルから2メートルを超える可能性が見込まれています。

結論

南極氷床の変化は、気候変動における重要な要素の一つであり、これにより引き起こされる問題は地球全体に影響を及ぼす可能性があります。温暖化が進む中で、氷床の動向を注意深く見守り、必要な対策を講じることが求められています。

関連項目

• - 南極の地理
• - 西南極氷床
• - 東南極氷床
• - 氷河の一覧
• - 地球温暖化の影響

外部リンク

* 南極氷床形成過程を再現した動画（英語） — アメリカ国立科学財団提供

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