南西航空石垣空港オーバーラン事故

南西航空石垣空港オーバーラン事故について

1982年8月26日に発生した南西航空石垣空港オーバーラン事故は、日本の航空史の中で多くの人の記憶に残る悲劇的な出来事の一つです。この事故は、那覇空港から石垣空港を結ぶ南西航空611便（ボーイング737-2Q3）が、着陸の際に滑走路をオーバーランした結果、機体が大破し火災が発生しました。乗員や乗客138人のうち、48人が重軽傷を負ったものの、幸いにも死者は出ませんでした。この事故は、南西航空にとって最も重大な事故とされており、その後の安全対策に大きな影響を与えました。

事故機の概要

事故機とされるボーイング737-2Q3（JA8444）は、1978年12月に初めて飛行しており、事故が発生した時点での総飛行時間は5,056時間でした。この機体は、当日611便として那覇と宮古を往復した後、石垣空港への着陸に向かいました。

乗員のプロフィール

機長は40歳で、1973年に入社以来、ボーイング737の機長として1980年から乗務しており、同機での飛行経験は1,666時間でした。一方、副操縦士は29歳で、1974年に入社後、1981年から副操縦士として乗務しており、878時間の経験を積んでいました。双方とも豊富な経験を持っていましたが、事故に対する影響は想像以上でした。

事故の経緯

611便は、那覇空港の滑走路36から13時09分に離陸し、13時20分後には24,000フィートに達しました。13時23分には、石垣空港の気象情報を取得し、13時33分に降下を開始しました。611便は、石垣空港の滑走路22に131ノット（約243 km/h）で接近し、一度接地したがバウンドし、再び接地したのは170メートル先の地点でした。

しかし、着陸直後、機長と副操縦士はオートブレーキを使用せず、スラスト・リバーサーを作動させようとしましたが失敗しました。その後は速度を下げようとしましたが、機長がフットブレーキをかけるタイミングが遅れたことから、機体は充分に減速せず、オーバーランが避けられない状況となりました。最終的に、機体は滑走路の端から145メートル先の雑木林で停止し、その直後に爆発が起こりました。

事故原因

事故の調査では、当初は機械的故障が疑われましたが、数日後にはパイロットエラーによる速度超過が主な原因として指摘されました。具体的には、着陸速度が通常よりも速く、さらにスラストリバーサーとスポイラーの不具合が影響を及ぼしていました。調査委員会の報告によると、機長がブレーキをかけたタイミングとエンジンを停止させたことがアンチスキッド装置の機能をオフにしてしまい、結果として制動力が大幅に低下したとのことです。

事故後の影響

その後、日本乗員組合連絡会議（ALPA）は調査の透明性に疑問を呈しました。事故の結果、機長は業務上過失傷害の疑いで書類送検されましたが、那覇地検は証拠不十分として不起訴処分としました。再発防止のための対策も講じられ、特に石垣空港の滑走路短縮が指摘され、新しい石垣空港の開港に至る背景となりました。

この事故は、航空業界における運行の安全性を再認識させる大きな契機となり、以後の乗客の安全確保に向けた取り組みが強化されることになりました。

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