南野陽子 ナンノこれしきっ!

南野陽子 ナンノこれしきっ!：アイドルラジオの金字塔

『南野陽子 ナンノこれしきっ!』は、1986年10月12日から1990年6月24日までニッポン放送系列で放送された、南野陽子がパーソナリティを務めた人気ラジオ番組です。深夜放送という枠ながら、多くのリスナーを魅了し、アイドルラジオ番組として高い人気を誇りました。

番組内容：リスナーとの一体感を重視した自由なスタイル

前番組『南野陽子 落書きだらけのクロッキーブック』の流れを汲みつつ、トーク、リスナー参加型コーナー、音楽コーナーで構成されていました。番組開始直後の短いトークから始まり、オープニング、CM、ジングルを挟みながら、南野陽子の近況報告やドラマ・映画の裏話といったトーク、そして選曲された楽曲が流れました。リスナー参加型コーナーでは、視聴者から寄せられたハガキへのアドリブでの回答などが行われ、南野陽子の飾らない人柄が垣間見えました。

南野陽子自身は、この番組を「南野陽子という女の子が喋っている番組というよりも、リスナーと作る番組」と位置付けており、素朴なギャグを交えながら、リスナーとの一体感を重視した番組作りを目指していたと語っています。番組制作は、ディレクター、作家、ミキサー、そして南野陽子の4名体制で行われ、ハガキへの反応などは全てアドリブで行われていました。台本はコーナータイトルと時間指定程度しかなく、多忙を極めていた南野陽子は楽屋で収録を行うなど、自由で臨場感あふれる番組制作が行われていました。

選曲は、1曲目がアニメソングやテレビ主題歌などジャンルを問わず、2曲目が南野陽子の楽曲が流れることが多かったです。この番組を通して、南野陽子はラジオパーソナリティとしての経験を積み、自身のキャラクターを確立していったと振り返っています。

番組の人気と突然の打ち切り

『ナンノこれしきっ!』は、最盛期には毎週平均1万通ものハガキが寄せられるなど、絶大な人気を博しました。特に、南野陽子のモーニングコールを吹き込んだカセットテープのプレゼント企画では、15万通ものハガキが殺到し、ニッポン放送の記録を更新するほどでした。

しかし、1990年6月、突如として番組の打ち切りが決定しました。南野陽子は、この突然の打ち切りに強い怒りを覚えたと語っています。スポンサーの降板も重なり、番組終了は多くのリスナーに衝撃を与えました。

打ち切りの背景には、同じ時間帯に放送されていた『中山美穂 P.S. I LOVE YOU』の放送時間短縮問題への対応もあったと推測されています。ニッポン放送では『P.S. I LOVE YOU』が30分番組に短縮されていましたが、『ナンノこれしきっ!』の打ち切りにより、1時間番組への拡大が実現しました。

ネット局も後番組の選定に追われ、最終回まで放送していた各局では対応に追われました。番組終了後、2ヶ月近く経った1990年8月18日には、『東京ハラギャーテーズ夏休みスペシャル・ナンノこれしきっ!増刊号』として特番が放送され、番組への高い人気がうかがえます。その後、16年後の2006年には、ニッポン放送で南野陽子の新番組『南野陽子 今日はナンノ日っ!』が開始され、5年間放送されました。

主要コーナー

番組には様々なコーナーがありました。代表的なコーナーとして、「茶封筒クイズ」では、視聴者から送られた茶封筒の中のクイズに答え、正解なら「メルヘンチャレンジ」、不正解なら「大変チャレンジ」に挑戦するというものでした。「メルヘンチャレンジ」では、新曲のプロモーションなど比較的穏やかな内容でしたが、「大変チャレンジ」では、赤ちゃんをあやす、一人二役の漫才など、アイドルとしては異例の内容もありました。「CM前の葉書コーナー」は、CMまでの短い時間にリスナーからの葉書を紹介するミニコーナーでした。「ナンノ箱」は、「茶封筒クイズ」と同様のリスナー参加型コーナーで、毎回スタッフが指令を与え、それを南野陽子が実行するというものでした。「こうにちまいないベスト5」は、視聴者からのお題に対して「こうに違いない」と思うことを5つ挙げるコーナーでした。

使用楽曲

オープニングテーマは当初RUN D.M.C.の「Walk This Way」のカバー、エンディングテーマはマイク・マーシャル & ダロル・アンガーの「Dolphins」でした。CM明けのジングルは2種類あり、1つは南野陽子の楽曲「春景色」、もう1つはオリジナル曲のアレンジを使用していました。1989年頃には、オープニングテーマが村下孝蔵の「幸せのメロディー」に変更されています。

ネット局と放送時間

ニッポン放送では日曜日25:00～25:30に放送されていましたが、ネット局では放送時間や曜日が異なっていました。

『南野陽子 ナンノこれしきっ!』は、南野陽子の飾らない人柄と、リスナーとの一体感を大切にした番組作り、そして自由なスタイルが人気を博した番組でした。突然の打ち切りは残念でしたが、その人気ぶりは、後番組や復活特番からも伺えるでしょう。

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