単孔目

単孔目（たんこうもく、Monotremata）

単孔目は、哺乳類の一群であり、カモノハシやハリモグラなど、非常にユニークな特徴を持つ動物を含んでいます。彼らは主にオーストラリア東部とニューギニアに生息し、卵を産む哺乳類として知られています。この目は、単孔亜綱（Prototheria）の一部として分類されることもあり、カモノハシ目（Platypoda）とハリモグラ目（Tachyglossa）の2つの目に分けられることがあります。

分類

現存する種は以下の分類群に分けられます。

• - カモノハシ科 (Ornithorhynchidae)
• - ハリモグラ科 (Tachyglossidae)
• - †Steropodontidae科（絶滅）
• - †Teinolophidae科（絶滅）
• - †Kollikodontidae科（絶滅）
• - Incertae sedis（分類不明）

- †Kryoryctes
- †Patagorhynchus

1997年に提唱された説では、これらの種を2つの目に分けることがありました。現生の分類に関する情報は、Groves (2005)や川田ら (2018) に基づいています。

分布

単孔目の分布は、オーストラリア東部とニューギニアに限定されており、化石記録も主にオーストラリアで発見されています。ただし、1992年にはアルゼンチンからも本目に属すると思われる歯の化石が発見されています。

形態

現生のカモノハシとハリモグラの特長として、頭骨や下顎が前方に突出していることが挙げられます。カモノハシは嘴状で、ハリモグラは円筒形の顔を持っています。化石種の中には歯を持つものもいましたが、現生種には成獣になって歯が退化しています。カモノハシの幼獣は一度歯を持ちますが、成長するにつれて退化し、獲物を掴むのに喉の角質板を使用します。ハリモグラは舌と口蓋の棘を使って獲物を破砕します。

単孔目の命名は「1つの穴」に由来し、その理由は糞や尿、生殖がすべて同じ排出腔から行われることにあります。メスは2つの子宮を持ち、卵を柔らかい殻に包んで産みます。オスは後肢に角質の蹴爪があり、特にカモノハシは毒腺を持っていて、後肢で毒を排出することができます。ハリモグラも毒腺を持っていますが、こちらは退化して機能していません。

生態

現生種の生態は異なり、カモノハシは水中の無脊椎動物を主に食べ、ハリモグラはアリやシロアリ、そしてミユビハリモグラ類は昆虫やミミズを食します。彼らは現存する哺乳類の中で、唯一卵生の繁殖様式を持ち、特にカモノハシは巣穴に卵を産み付け、ハリモグラは腹部の袋に卵を収納します。

カモノハシとハリモグラは、共に約10日間の抱卵期間を持ちます。興味深いことに、彼らは乳腺を持ちながら乳房や乳頭は持たず、授乳は乳腺から滲み出た乳を用いて行います。カモノハシは仰向けになりながら乳を、ハリモグラは抱卵嚢内で滲み出た乳を与えています。これらの特異な生態や形態は、単孔目が哺乳類の中でも特異な存在であることを示しています。

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