危険なプロット

『危険なプロット』（原題：Dans la maison）は、2012年に公開されたフランスのサスペンス映画です。舞台は高校。国語教師のジェルマンは、生徒の作文を通して、ある生徒、クロードの才能と危険な秘密に気づきます。

物語は、新学期が始まった高校から始まります。ジェルマンは生徒たちに週末の出来事を作文する課題を出します。多くの生徒の作文は退屈なものばかりでしたが、ジェルマンはクロードの作文に特別な才能を見出します。クロードの作文は、クラスメイトのラファの家を訪れた際に目撃した出来事を描いたものでした。一見、悪趣味な覗き見のようですが、その文才と、続きが気になる展開に、ジェルマンと彼の妻であるジャンヌは惹きつけられます。

ジェルマンはクロードに作文の続きを要求し、次第にクロードはジェルマンと一対一の小説指導を受けるようになります。しかし、クロードの書く物語は、虚実が入り交じり、次第に危険な方向へと進んでいきます。クロードの想像力と文才は、現実とフィクションの境界線を曖昧にし、物語は予測不能な展開を見せます。

この映画は、フランソワ・オゾン監督による作品で、スペインの作家フアン・マヨルガの舞台劇『El chico de la última fila』を原作としています。映画は、才能ある俳優陣の熱演によって、緊張感とサスペンスに満ちた世界観を作り上げています。ファブリス・ルキーニがジェルマンを、エルンスト・ウンハウアーがクロードを演じ、その他、クリスティーヌ・スコット・トーマス、エマニュエル・セニエなど実力派俳優が脇を固めています。

『危険なプロット』は、単なるサスペンス映画の枠を超えた、人間の心理や創作活動の本質に迫る作品です。物語は、教師と生徒、現実と虚構、そして善悪の境界を曖昧にしながら、観る者に深い衝撃と余韻を与えます。

映画の製作は、フランスの映画会社マンダリン・シネマがフランス2シネマとマーズ・フィルムズの支援を受けて行われました。撮影は2011年8月から9月にかけて8週間かけて行われ、フランス国内でロケが行われました。

公開は、2012年10月3日にフランスで始まり、その後、世界各国で公開されました。日本では2013年6月21日にフランス映画祭2013のオープニング作品として上映され、その後劇場公開されました。

批評家の評価も高く、Rotten Tomatoesでは88%の高評価を得ています。アロシネでも平均点は5点満点中3.5点と高い評価を得ています。また、サン・セバスティアン国際映画祭では最高賞であるゴールデン・シェルと審査員賞（脚本賞）を受賞するなど、数々の賞を受賞しています。エルンスト・ウンハウアーは、本作での演技が評価され、第18回リュミエール賞の最優秀新人男優賞を受賞しました。

『危険なプロット』は、そのスリリングな展開、巧みな演出、そして素晴らしい演技によって、観る者を最後まで魅了する傑作です。教師と生徒、現実と虚構、善と悪の境界線が曖昧になる中で、人間の深層心理を深くえぐり、観る者に考えさせられる多くの要素が含まれています。一度観たら忘れられない、印象的な作品と言えるでしょう。

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