厂原時也

厂原 時也：故郷の地震からミュージカルスターへ

1985年1月31日、北海道函館市に生まれた厂原時也氏は、現在、日本を代表するミュージカル俳優として活躍しています。幼少期は奥尻町で過ごしましたが、小学校時代に経験した北海道南西沖地震は、彼のその後の人生に大きな影響を与えました。奥尻中学校、奥尻高校とサッカー部に所属し、高校時代にはキャプテンを務めるなど、スポーツにも打ち込んでいました。

当初は保育士か調理師を目指していた厂原氏の人生を大きく変えたのは、高校2年生の時の修学旅行でした。『ライオンキング』を観劇した感動が、彼を劇団四季の世界へと導いたのです。高校3年生で一度劇団四季のオーディションに挑戦するも落選。しかし、その夢を諦めることなく、高校卒業後は大阪芸術大学芸術学部舞台芸術学科ミュージカルコースに進学しました。大学在学中には、劇団四季のオーディションに合格。大学を中退して2006年、劇団四季研究所に入所します。

2007年、『ユタと不思議な仲間たち』で念願の初舞台を踏むと、その後は数々の作品に出演。高いダンススキルを活かし、『ウェストサイド物語』のベイビー・ジョーン役や、『クレイジー・フォー・ユー』ではアクロバットを交えたビリー役を演じ、観客を魅了しました。他にも『春のめざめ』の日本初演キャストとして抜擢されるなど、実力派俳優としての地位を確立していきます。

彼のキャリアの中でも特に注目すべきは、『ライオンキング』での活躍でしょう。2011年の北海道四季劇場公演ではシンバ役およびバンザイ役にキャスティングされたものの、諸事情により出演は見送られましたが、2016年2月23日、東京公演で遂にシンバ役デビューを果たしました。

順風満帆だったわけではありません。入団後3度も膝の手術を行うなど、幾多の困難を乗り越えてきました。2012年の『ユタと不思議な仲間たち』京都公演以降は、しばらく舞台から遠ざかる時期もありましたが、2013年に復帰。その後も『壁抜け男』や『アラジン』といった作品で主役を射止め、その実力を改めて証明しました。2017年には、奥尻町政功労賞を受賞。故郷への貢献も忘れていません。

厂原氏の活動は多岐に渡り、『劇団四季ソング&ダンス』シリーズへの出演や、『夢から醒めた夢』、『ウィキッド』など、幅広い作品で重要な役どころを担ってきました。また、『カモメに飛ぶことを教えた猫』や『桃次郎の冒険』といった作品への出演も予定されています。

彼の成功物語は、単なる才能の開花というだけでなく、困難を乗り越える強い意志、故郷への愛、そして何よりもミュージカルへの情熱の賜物と言えるでしょう。卓越したダンススキルと表現力、そして持ち前の明るさと誠実さで、今後も日本のミュージカル界を更に盛り上げてくれることでしょう。

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