厚岸小島

厚岸小島（あっけしこじま）

厚岸小島は、北海道厚岸郡厚岸町の沿岸に位置する島で、大黒島の北にあります。そのため、地域内で他の「小島」と混同しないよう、厚岸小島と呼ばれています。2020年の国勢調査によると、島の人口はわずか4世帯6人ですが、これは季節居住のためで、昆布漁が行われない冬季になると無人島になります。アイヌ語では「ポンモシリ」と呼ばれており、これは「小島」を意味します。明治期には「小大黒島」との名称でも知られていました。

地理と自然

厚岸小島は、北海道本土からわずか0.9 km南に位置し、平坦な地形が特徴です。その南東部には海食崖が立ち並び、周囲には海食によって形成された岩礁もあります。これにより、島は昆布漁に適した天然の環境が保たれています。一方、千島海流の影響で気温は低く、特に5月から8月にかけては濃霧が多く、日照時間が短くなります。

かつては森林も広がっていましたが、現在は1本の樹木もなく、岩山の斜面には雑草が生い茂ります。動物もあまり見られず、8月にはウミツバメやイワツバメが営巣のためにやってくる程度です。1955年には厚岸道立自然公園に指定され、地域の自然環境が保護されています。

歴史の流れ

厚岸小島の歴史は古く、幕末期の文献にもその名が見えます。之は松浦武四郎の『戊午日誌』での記載に基づいています。彼によれば、この島は周囲10丁、丸い形をした島であり、多くの奇岩が存在していました。明治初期には、アイヌ民族が定住して昆布漁に従事していたと伝えられています。1882年には北海道内で移住者が増え、乱漁による居住者数は次第に増加しました。

1900年代初頭には、ニシンの漁獲盛期を迎え、居住者が40世帯以上に達しました。しかし、漁獲量の減少とともに人口も減少し、昭和半ばには昆布漁が主な産業となりました。1963年には初めて島に電気が開通し、1972年には水道も整備されましたが、その後は季節居住に移行し、人口も減少傾向にあります。2014年には厚岸蒸留所が設立されるも、施設設置には課題が残っています。

生活と産業

1969年には島内の10世帯が昆布漁を主要な生業としており、年間2000万円の水揚金額を記録していました。昆布漁は主に7月から9月に行われ、小型の定置網漁や刺網漁でニシンも獲られていました。島の漁民はそんな中、スポーツ感覚で行われる漁業の中で平均して200万円以上も収入を得ている状態でした。施工されている港湾施設はなく、漁獲は自家用漁船で本土に運ばれます。

インフラの発展

厚岸小島では、かつては手動で水を運ぶことが一般的でしたが、1972年には海底送水管が敷設されました。同時に、1963年には自家発電が導入され、以降電気も供給されるようになりました。また、通信手段も整備され、電話線が敷設されたことによって、外部との連絡も改善されました。

教育と文化

1904年には小島特別教育所が設立され、1917年には小島尋常小学校と改称されています。現在は廃校となっていますが、かつては島民の教育と文化活動の中心として機能していました。この学校はその後、文化センターとして利用されています。

神社と伝統

小島には厳島神社があり、島民の信仰の場として存在しています。祭日は秋に行われ、文化的な役割も果たしています。島民の墓地は本土にあり、海を挟んでの独特な生活様式が色濃く残っています。

このように厚岸小島は小さなながらも豊かな自然と歴史、独自の文化が育まれてきた場所です。

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