厚木国際カントリー倶楽部

神奈川県厚木市下荻野に位置する厚木国際カントリー倶楽部は、豊かな自然に囲まれた36ホールを有するゴルフ場です。

このゴルフ場の歴史は、1955年（昭和30年）に厚木市長であった波多野元正氏が、地域の活性化策としてゴルフ場建設を矢下治蔵氏に提案したことから始まります。鉄道事業から実業界に転じ、池袋駅周辺の活性化で実績を上げていた矢下氏は、この提案に賛同。1958年（昭和33年）9月5日、ゴルフ場設立のため「厚木国際ゴルフ場株式会社」を立ち上げ、自ら社長に就任しました。用地は厚木市郊外の荻野丘陵が選ばれ、地域に開かれた会員制クラブを目指すこととなりました。

コース設計は矢下治蔵氏が手掛け、詳細設計から現場の監理に至るまで深く関わりました。1959年（昭和34年）11月8日には、まず18ホールが完成し開場を迎えます。その後、拡張が進められ、1961年（昭和36年）には現在の東コースのアウト9ホール、1964年（昭和39年）11月には現在の西コースの9ホールが増設され、合計36ホールの規模となりました。

厚木市郊外の丘陵地に広がるコースからは、大山や丹沢連峰の壮大な眺望、そして小鮎川のせせらぎを望むことができます。西コースは全体的に比較的フラットながら、十分な距離と広いフェアウェイが特徴で、ダイナミックなプレーが楽しめます。一方、東コースは2014年（平成26年）から約6年をかけた全面改修を経て、2020年（令和2年）にリニューアルオープンしました。相模川の水をイメージしたデザインが随所に施され、18ホール中10ホールに池やクリークが絡むことで、戦略性と美しい景観が融合したコースに生まれ変わっています。

厚木国際カントリー倶楽部は、総面積1,300,000m²（約39.2万坪）の広大な敷地に、36ホール、パー144、全長13,293ヤードを有します。コースレートは東西ともに72.2です。グリーンは、西コースがペンクロスとドミネントの2グリーン、東コースは007とタイイの混合による1グリーンを採用しています。コース上のハザードとしては、合計101個のバンカーと、10ホールでプレーに影響する池が配置されています。プレーは5人乗りの乗用カートを使用し、キャディ付きスタイルが基本です。

充実した練習施設も魅力の一つです。280ヤードの距離を持つ18打席の総合練習場では、バンカーやアプローチグリーン、グラスバンカーも備わっており、様々な練習が可能です。また、60ヤードの12打席を備えた鳥かご練習場もあります。

クラブハウスは7,600m²（約2,299坪）の広さを誇り、辰建設株式会社が設計・施工を手掛けました。

交通アクセスとしては、鉄道利用の場合、小田急線本厚木駅からクラブバスで約15分です。2017年には、本厚木駅より徒歩約4分の場所に待合・チェックイン専用ラウンジが開設され、利便性が向上しました。車を利用する場合、東名高速道路厚木ICから約20分、圏央道圏央厚木ICから約25分でアクセス可能です。

開業にまつわるエピソードとして、実業家であった矢下治蔵氏の多角的な手腕が知られています。彼は戦後間もない時期に「民衆駅」構想を推進し、現在の池袋駅のように鉄道施設と商業施設を組み合わせた開発を成功させ、都市活性化に貢献しました。また、ゴルフ場建設の開発許可申請においては、メンバー以外のゲストも週末や休日にプレーできる開かれたコースとするよう神奈川県当局からの要請があり、矢下氏がこれに快く賛同したことも伝えられています。

このように、厚木国際カントリー倶楽部は、地域の活性化という理念から始まり、戦略的なコース設計と整備、充実した設備を備え、多くのゴルファーに親しまれるゴルフ場として、神奈川県におけるゴルフ文化の一翼を担っています。

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