原仙作

原仙作：英語教育界の巨星、受験生を導いた英文学者

原仙作（はら せんさく、1908年9月14日 - 1974年7月9日）は、昭和時代に英語教師、英文学者として活躍した人物です。旺文社で編集顧問を務める傍ら、大学受験生向けの英語参考書の著者として、多くの受験生から支持を得ました。

生涯

長崎県諫早市出身の原仙作は、海星中学校を経て1931年に長崎高等商業学校（現在の長崎大学経済学部）を卒業。その後、日本統治下の朝鮮に渡り、龍山公立中学校の教諭として教鞭を執りました。終戦直後には米軍政長官付き通訳官兼参謀二課翻訳官を務め、1946年5月に帰国。

帰国後は旺文社に入社し、主幹を経て1948年に編集顧問に就任。旺文社での活動と並行して、1950年から1956年まで開成高等学校の講師を務めました。その後は、千葉大学工業短期大学部、明治大学、青山学院大学、実践女子短期大学で非常勤講師として教壇に立ちました。また、代々木ゼミナール講師としても活躍するなど、幅広く教育に携わりました。武蔵野女子大学専任講師を経て、1973年より短期大学部教授に就任しましたが、翌1974年7月9日に肺がんのため逝去しました。

受験参考書とその影響

原仙作の最も有名な業績は、受験参考書の執筆です。特に『英文標準問題精講』（通称『原の英標』）は、戦前・戦後を通じて大学受験生のバイブルとして広く用いられました。同書は950万部以上を発行するベストセラーとなり、受験英語の学習に大きな影響を与えました。他にも、『和英標準問題精講』、『英文法問題標準精講』（いずれも旺文社）など、受験生向けの参考書を多数執筆しています。

開成高等学校での教え子である中原道喜が、原の死後、『英文標準問題精講』シリーズの補訂を行い、近年ではシリーズを増やし、21世紀においても出版が続けられています。大学用教科書としては、『日本文学英訳演習』（北星堂書店）があります。また、旺文社の受験情報誌『螢雪時代』の前身である『受験旬報』では、「英語問題の研究」などの記事を執筆しました。

『英文標準問題精講』は、原が龍山公立中學校で英語教師をしていた1933年（昭和8年）、25歳の時に刊行されました。当時の定価は1円でした。

著書一覧

『英文標準問題精講』旺文社 1933
『和英標準問題精講』旺文社 1938
『米英新語辞典』編 旺文社 1949
『英文法標準問題精講』旺文社 1966
『和英標準問題精講 原の「和標」 4訂版』中原道喜補訂 旺文社 1981
『和英標準問題精講 5訂版』花本金吾改訂 旺文社 1991

共著

『英語の傾向と対策』片山寛共著 旺文社 1955
『英語の傾向と対策 昭和32年版』J.B.ハリス共著 旺文社 1956
『英語の傾向と対策 昭和33年度版』黒田巍, J.B.ハリス共著 旺文社 1957
『英作・文法の傾向と対策』海江田進, J.B.ハリス共著 旺文社 1958
『英文解釈の傾向と対策 昭和34年版』梶木隆一,J.B.ハリス共著 旺文社 1958

関連文献

『英文標準問題精講』（旺文社） ISBN 4010323310
『英文法標準問題精講』（旺文社） ISBN 4010323329
『和英標準問題精講』（旺文社） ISBN 4010327715
* 『日本国「受験ユーモア」五十五年史』（旺文社） ISBN 4010096012


原仙作は、その著書を通じて、多くの受験生に英語学習の道を示し、日本の英語教育に大きく貢献した人物として、その名は記憶されるでしょう。

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