原吉平

原 吉平について

原 吉平（はら きちへい、1900年1月15日 - 1986年5月30日）は、戦後日本の繊維業界で重要な役割を果たした実業家であり、ユニチカの初代会長として知られています。彼は、アグレッシブな海外進出や経済改革に積極的に取り組み、またスポーツ振興にも尽力しました。

生い立ちと教育

福岡市で博多商人の家に生まれた原は、福岡県立中学修猷館を卒業後、県費で東亜同文書院に進学し、1921年に卒業しました。その後、大日本紡績の大阪本社に入社し、営業業務でのキャリアをスタートさせました。原が若い頃に経験した視察活動は、彼の国際的な視野を広げる重要な要因となりました。

キャリアの発展

1927年には外務省の東亜経済調査団に参加し、アフリカやポルトガル、インドなどの地域視察を行い、豊かな国際感覚を身につけました。当時の社長である小寺源吾からの期待も高く、業務部副部長や商務部副部長を歴任した後、1946年12月に取締役、1949年に49歳で社長に就任しました。彼の社長時代には、戦後の統制経済に対抗し、繊維製品の規制解除に積極的に取り組みました。

1958年にはブラジルに日紡繊維商工有限会社（ニチボーブラジル）を設立し、海外市場におけるビジネス展開の先駆者となりました。彼のリーダーシップの下で、大日本紡績は1969年に「ニチボー」と改称し、さらに日本レイヨンと合併してユニチカが誕生します。原はその初代会長に就任しました。

経済団体での役割

1953年には関西経済同友会の代表幹事に就任し、経済活動にも力を入れました。関西経済連合会や経済団体連合会でも要職を歴任し、1969年には日本貿易振興会（ジェトロ）の理事長を任され、経済発展に貢献しました。彼の時代には日本の国際貿易に関するさまざまな改革が行われ、国際的なつながりが強化されました。

スポーツへの貢献

原は「スポーツが一流なら社運も伸展する」という信念を持ち、1960年代には女子バレーボールチーム「ニチボー貝塚」の育成に力を注ぎました。このチームは国際的に成功を収め、「東洋の魔女」と呼ばれるほどの偉業を成し遂げました。スポーツを通じて企業のブランド力を高め、社員の士気向上にも寄与しました。

栄誉と受章

彼の顕著な業績に対して、多くの賞を受賞しています。1959年には藍綬褒章、1970年には勲二等旭日重光章、さらに1975年には勲一等瑞宝章が授与されました。これらの栄誉は、原の経済界における貢献を証明するものです。

結び

原吉平は、日本の実業界において多大な影響を持った人物であり、彼の経歴は戦後の日本経済発展の一端を担っています。彼のリーダーシップと革新性は、後世の指導者たちにとっても大いに参考となるでしょう。

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