原田保夫

原田 保夫（はらだ やすお）氏は、日本の建設行政に長年携わった官僚であり、復興庁顧問なども務めた人物です。島根県邑智郡邑南町日貫の出身で、島根県立松江南高等学校を経て学びを深めました。

1977年に東京大学法学部を卒業後、同年、当時の建設省（現在の国土交通省）に入省し、そのキャリアを開始しました。建設省および国土交通省では、土地・水資源局長など、国の重要な政策立案や実施に関わる様々な役職を歴任しました。また、内閣府では政策統括官（防災担当）を務め、国の防災体制の構築や危機管理において中心的な役割を担いました。

特に、2011年3月11日に発生した東日本大震災という未曽有の災害においては、内閣府政策統括官（防災担当）として、被災地の最前線に立ち、災害対応や救援活動、そしてその後の復旧・復興に向けた初期段階の取り組みを指揮しました。また、福島復興再生総局では、原子力災害からの複雑かつ困難な復興プロセスにおいて、その指揮を執るなど、被災地の再生に多大な貢献をしました。

国土交通審議官を経て、2014年には政府の閣議決定により、復興庁の事務次官に就任しました。復興庁事務次官として、東日本大震災からの本格的な復興事業を推進する上で、行政組織の中核を担いました。被災地の住宅再建やまちづくり、産業再生など、多岐にわたる復興課題に対し、関係省庁や自治体、被災者と連携しながら、その実現に向けた調整や施策の実行を主導しました。

復興庁事務次官を退任した後の2015年3月には、引き続き復興庁顧問として、その豊富な経験と知見をもって復興行政への助言を行いました。さらに同年6月からは、民間都市開発推進機構の理事長に就任し、民間の活力を活用した都市開発の促進に貢献しました。その後も、2019年には東日本建設業保証の代表取締役社長に就任するなど、建設関連分野で要職を歴任しました。2021年には東京都都市計画審議会の会長を務め、首都東京の都市計画にもその手腕を発揮しました。

長年にわたる国の行政、特に建設・防災・復興分野における顕著な功績が認められ、2023年には瑞宝重光章を受章しました。原田氏は、官僚としてキャリアをスタートさせて以来、一貫して国土の整備、国民の安全確保、そして大規模災害からの復興という、日本の社会基盤に関わる重要な課題に取り組んできた人物と言えます。そのキャリアは、国の発展と国民生活の安定に貢献した軌跡を示しています。

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