原野商法

原野商法について

原野商法（げんやしょうほう）は、主に1960年代から1980年代にかけて行われた悪質な不動産商法であり、価値のない土地を高額で売りつける詐欺的な手法を指します。この商法の特徴は、魅力的なリゾート開発の虚偽情報や公共事業の計画を利用して、土地の将来的な価値が高まると信じ込ませ、購入者をだます点にあります。

手口と勧誘方法

原野商法の業者は、新聞や雑誌の広告を多く利用し、首都圏の住民に対して、北海道や沖縄の土地を投資目的で販売しました。売られる土地は、多くの場合、居住も耕作も難しい遠隔地に位置しており、実際に土地を訪問することが困難でした。訪れても、業者は別の他人の土地を案内するなどして、実際の売却契約内容を誤魔化すテクニックも用いられていました。

業者は元々１つの土地を細分化し、あたかも計画的に区画整理をしたかのように見せかけ、数百万円という高値で数多くの無価値な区画を販売します。さらに、著名人や芸能人が所有する土地として宣伝することで、購入者に対して信頼感を与える戦略が取られることもありました。特に著名人が関連付けられることによって、消費者の心理に訴える手法が際立っていました。

現代の原野商法

このような悪質商法は1990年代以降も変化を遂げ、特にインターネット普及後には、バーチャル空間で土地を販売するなど、新たな詐欺手法も登場しています。また、「水源地」「太陽光発電用地」と称した購入勧誘も行われおり、以下に示すような様々な詐欺が横行しています。

• - 水源地投資詐欺: 無価値な土地を「水源地」と称し、高額で販売する手法。
• - 鉱物採掘権詐欺: 無関係な企業名を使用して鉱山権利の販売を行う。
• - バーチャル原野商法: インターネット上の無価値な土地の権利を売る詐欺。

二次被害の増加

2010年代に入ってから、原野商法の被害者が再び詐欺の標的になっている二次被害も急増しています。被害者を対象に「土地を買いたい」「売ってあげたい」といった勧誘が行われ、これも未だに詐欺として横行しています。特に高齢者層はこうした詐欺に狙われやすく、注意が必要です。国民生活センターなどの機関では、高齢者への見守りや警戒を呼びかけています。

所有者不明土地問題

原野商法で購入した土地が無価値であるため、その相続人は負債感覚で土地を抱えることが多く、管理や税負担などから逃れようとして土地を登記せずに放置することもあります。この結果、所有者不明土地が増加し、地方での土地利用や自然保護にも影響を及ぼしています。

法律整備と今後の課題

最近では、土地登記の義務化や国に引き取ってもらえる制度が整備されています。しかし、相続した原野の場所や状態が不明確な場合、引き取りを判断するハードルが高いのが現実です。いずれにせよ、原野商法の被害者を守り、詐欺から消費者を防ぐための対策は引き続き重要な課題となります。

原野商法の歴史とその影響をしっかりと理解し、詐欺的行為に対する警戒を強めることで、これ以上の被害を防ぐ取り組みが求められています.

もう一度検索