原野広太郎

原野広太郎

原野広太郎（はらの こうたろう、1930年9月16日 - 1994年2月9日）は、日本の著名な教育心理学者です。長年にわたり、教育心理学の発展に大きく貢献しました。

略歴

1930年9月16日：長野県佐久市に生まれる。
1953年：東京教育大学心理学科を卒業。
1958年：東京教育大学大学院実験心理学博士課程を満期退学。
1963年：「感情反応および情緒反応の身体的表出に関する研究 精神電流反射および容積脈波による感情・情緒の研究」で文学博士号を取得。東京教育大学助教授に就任。
その後、東京教育大学教授に昇進。
1976年：筑波大学教授に就任。
1994年2月9日：63歳で逝去。

研究内容と業績

原野広太郎は、感情や情緒といった人間の内面的な心理状態と、それらが身体的な表出にどのように現れるのかについて、実験心理学的な手法を用いて研究しました。特に、精神電流反射や容積脈波といった生理指標に着目し、感情や情緒の客観的な測定を試みました。これらの研究は、感情心理学の分野において重要な貢献とされています。

また、教育心理学者として、自己暗示やセルフコントロール、自己弛緩法といった心理療法を教育現場に応用することを提唱しました。児童生徒の自己肯定感を高め、問題行動を予防するための具体的な指導方法を開発し、教師向けの著書や講演を通じて普及に努めました。

さらに、アルバート・バンデュラの社会的学習理論を日本に紹介し、教育におけるモデリングの重要性を説きました。

著書

原野広太郎は、多数の著書や論文を発表しています。主な著書としては、以下のようなものがあります。

『自己暗示精神改造法』(自由ブックス社, 1976)
『教育指導の心理』(金子書房, 1978)
『教育臨床の心理』(金子書房, 1980)
『教室で生きる教育心理学』(学陽書房, 1981)
『セルフコントロール』(講談社現代新書, 1984)
『自己弛緩法』(講談社現代新書, 1987)
『教師のための児童生徒理解』(金子書房, 1989)
『窓に映る教育と社会』(金子書房, 1990)

これらの著書は、教育心理学を学ぶ学生や、教育現場で働く教師にとって、貴重な情報源となっています。

共編著・翻訳

『精神衛生』編著 協同出版 1971
『教育学の世界名著100選 学際的教育科学への道』長尾十三二共編著 学陽書房 1980
『家庭のしつけと学校のきまり』編 金子書房 (児童心理ブックス 1987
『行動療法ケース研究 第7集 非社会的問題行動』編 岩崎学術出版社 1989
『性格心理学新講座 第5巻カウンセリングと心理治療』責任編集 金子書房 1989
『新・児童心理学講座 第16巻 子どもの問題行動と心理療法』責任編集 金子書房 1992
『生徒指導・教育相談 教職課程 小学校用』編著 日本文化科学社 1993
『生徒指導・教育相談・進路指導 教職課程 中・高校用』編著 日本文化科学社 1993
アルバート・バンデュラ『人間行動の形成と自己制御 新しい社会的学習理論』福島脩美共訳 金子書房 1974
A.バンデュラ 編『モデリングの心理学 観察学習の理論と方法』福島脩美共訳 金子書房 1975
K.U.ガッチ, J.D.アルコーン『学校カウンセラーの役割と実務』学苑社 1976
* A.バンデュラ『社会的学習理論 人間理解と教育の基礎』監訳 金子書房 1979

原野広太郎の研究業績は、今日の教育心理学の発展に大きな影響を与えています。

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