厳律シトー会

厳律シトー会（O.C.S.O.）

厳律シトー会、またトラピスト会としても知られるこの修道会は、カトリックに属する観想修道会です。ベネディクトゥスの制定した規則を忠実に守り、司教からの行政干渉を受けないという独自の特権を有しています。これは、教皇と修道会総長にのみ責任を持つ免属修道会としての性質を示しています。

歴史的背景

この会は、1098年にフランス、ブルゴーニュ地方のシトーで設立された修道院から発展しました。創設者のモレームのロベールは、シトー修道会の最初の院長であり、彼の理念に基づく修道生活が始まりました。12世紀には、著名な修道士ベルナルドゥスによって修道会はさらなる成長を遂げ、全ヨーロッパに約1800の修道院が設立されました。

その後、17世紀後半にフランス・ノルマンディーのトラップ修道院で院長アルマン・ジャン・ル・ブティリエ・ド・ランセが修道規律の改革を行い、その結果、厳律シトー修道会が生まれました。修道院の名称は、彼が設立したトラップ修道院に由来し、女子修道院はトラピスチヌと呼ばれています。

修道院の制度と権威

この修道会の構造は、大修道院を中心に複数の子修道院があり、大修道院院長はその全体の指導者としての役割を果たしています。彼はミサの際、司教の冠と司教杖を用いることが許されていますが、その使い方には特有の決まりがあります。また、下級聖職者の任命は大修道院長の権限に含まれないため、仕組みとして一層の厳格さが求められます。

院長の就任式は、司教以上の位階の聖職者によって執り行われ、特別な儀式が重視されています。この聖職者は、助祭以上の位階を授ける権限を持たず、そのため司教叙階式や司教着座式に準じた形がとられます。

日本の厳律シトー会

日本においては、灯台の聖母トラピスト大修道院が男子修道院の母院であり、北海道北斗市や大分県日出町などに男子修道院が存在します。女子修道院は函館市や栃木県那須町、兵庫県西宮市、佐賀県伊万里市、大分県宇佐市にもあります。また、大韓民国にも女子の子院が存在します。これらの修道院では、「祈り、働け」という理念のもと、伝統的な修道生活を営んでいます。

産品と自活

厳律シトー会の修道院では、地域の特色を活かした自給自足の活動が行われています。一部の修道院ではチーズやビールの生産が行われており、中でもベルギーのスクールモン修道院は「シメイ」というブランドで名高いチーズとビールを製造しています。また、ボスニア・ヘルツェゴビナのマリア・ズビエズダ修道院では、社会主義政権時代に封じられていたチーズ生産が2008年に復活しました。

日本では、トラピスト修道院で生産されるバターやクッキーが特産品として人気があり、観光客には函館土産として知られています。

厳律シトー会の聖人

この修道会には、著名な修道士や聖人が数多く存在しますが、特に聖ラファエル・アルナイス・バロンはその中でも特筆される人物です。彼はその生涯において多くの教訓を残し、今なお信者たちに尊敬され続けています。

このように厳律シトー会は、歴史的背景と堅固な修道生活を通じて、世界中に影響を与え続けている修道会の一つです。

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