友寄正人

友寄 正人

経歴と審判への道

1958年1月26日、沖縄県に生を受けた友寄正人氏は、そのキャリアを通じて、同県出身者として初めてセントラル・リーグのプロ野球審判員という歴史を刻みました。少年時代には指揮者になる夢を抱きつつも、小学5年生の頃には既に審判という役割に強い興味を惹かれていました。野球の選手としての経験は中学時代に1年にも満たなかったものの、審判への情熱は募るばかり。高校時代には、自ら沖縄県野球連盟に審判を志願する行動力を見せ、その才能はすぐに認められます。沖縄国際大学在学中には、まだ学生でありながら、高校野球沖縄県大会の審判を務めるまでに至りました。また、大学時代には中学校で2年間、野球部の監督を務めた経験も持っています。

プロ審判としてのキャリア

大学卒業後、専門的な審判技術を学ぶためにビル・キナモン審判学校で研鑽を積んだ友寄氏は、1978年にセントラル・リーグの審判員としてプロの門を叩きました。プロ入り後は一貫して関西審判部に所属。その高い能力は早くから評価され、わずか22歳となった1980年には、プロ野球一軍の試合で初めて審判を務めるという異例の早さでデビューを飾りました。

キャリアを重ねるにつれて、日本のプロ野球における重要な舞台を数多く経験しました。1984年には若手選手の登竜門であるジュニアオールスターゲームで球審を務め、1987年には初めてオールスターゲームに出場。さらに、1992年には初めて日本シリーズの舞台に立ち、第3戦で球審という大役を任されるなど、着実に経験と実績を積み上げていきました。

輝かしい記録と組織での要職

長きにわたる審判生活で、友寄氏は数々の金字塔を打ち立てました。2007年10月20日、セントラル・リーグのクライマックスシリーズにおいて、通算2500試合出場を達成。そして、現役引退を目前に控えた2013年8月4日の試合では、球審として、史上19人目となる通算3000試合出場という偉業を成し遂げました。現役審判員としての最後のシーズンまで、袖番号「22」は彼のトレードマークでした。

オールスターゲームには1987年から2013年にかけて計6回出場し、うち3回（1987年第3戦、1994年第1戦、1998年第2戦）で球審を務めています。日本シリーズにはさらに多く、1992年から2010年にかけて計13回出場。通算10試合で球審を担当するなど、日本シリーズの歴史に残る多くの試合で最終的なジャッジを下す役割を担いました。

国際経験も豊富で、2009年にはワールド・ベースボール・クラシック（WBC）の審判員として派遣され、2次ラウンドで塁審を務めました。

審判組織内でもそのリーダーシップは評価され、1997年に主任、2003年に副部長へ昇進。2009年度からは部長待遇となり、組織体制変更を経て2011年にクルーチーフ、2013年には新設されたシニアクルーチーフに就任するなど、重要な役職を歴任しました。

審判スタイルと引退後

友寄氏の審判スタイルでは、球審用マスクの変遷が見られます。2005年まではスロートガードを装着するタイプを使用していましたが、2006年からはスロートガード一体型へと変更しました。また、ストライクを宣告する際のジェスチャーは特徴的で、初期には腕を大きく振りかぶるような動作でしたが、後に力強いガッツポーズのようなスタイルへと変化していきました。

2013年シーズンを最後にグラウンドから退いた友寄氏は、2014年1月、日本野球機構（NPB）の審判長に就任。第2代審判長として、組織運営や審判員の育成に手腕を発揮しました。2022年シーズン終了をもって審判長を退任した現在は、NPBの野球規則委員会委員として、野球規則の維持・発展に貢献しています。

主な出場記録（2013年シーズン終了時点）

プロ初出場：1980年7月31日（阪神対中日戦、甲子園）、左翼外審
通算試合出場数：3025試合
オールスターゲーム出場：6回
日本シリーズ出場：13回

友寄正人氏は、沖縄県出身初のセ・リーグ審判として道を拓き、30年以上にわたりプロ野球の公正な進行を支えました。その豊富な経験と野球規則への深い理解は、現役引退後も日本のプロ野球界にとって不可欠な存在であり続けています。

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