双方代理

双方代理について

概要

双方代理（そうほうだいり）は、同一の人物が法律行為における当事者双方の代理人として活動することを指します。日本の民法第108条に基づき、こうした行為は通常、無権代理に該当し、無効と見なされます。しかし、特定の条件であれば双方代理が認められることもあります。

この制度の背後には、代理人が私情でどちらかの当事者に不当に有利な契約を結ぶ危険性があります。こうした利害の対立を「利益相反」と呼び、同じ民法の条文で自己契約を禁止しているのも、このリスクを回避するためです。

事前了解の意義

双方代理の禁止は、当事者の不利益を防ぐためのものですが、事前に両者の同意があれば、双方代理は認められるという考え方が存在します。2004年の民法改正では、この点が法文に明記され、双方が理解した上で行われる契約については許可されるようになりました。これは、特定の行為が事前に設定される場合や、債務の履行に関しても同様です。

例えば、近隣のAさんとBさんが土地の売買契約を結ぶ際、同じ司法書士に登記手続きを依頼したとしましょう。この場合、事前に同意があれば双方代理が成り立ちます。

利益相反のリスク

とはいえ、事前の承諾があっても、代理人の判断で利益相反が生じる危険性がある場合、その契約は公序良俗に反するとされ無効とされる可能性があります。しかし、2004年の法改正以降、このリスクへの対処法が見直されました。

他の職業における禁止規定

法律職においては、弁護士や弁理士は明確に双方代理が禁止されています。弁護士法第25条や弁理士法第31条には、それぞれ双方代理の禁止に関する規定があります。また、社会保険労務士や司法書士、土地家屋調査士にも類似の規制があります。それぞれの法律で特定の業務において双方代理が禁止されています。

不動産業における媒介

不動産業に関連しては、仲介業務が双方代理禁止原則に抵触しない理由について説明があります。媒介業務は本人の意思表示を代わりに行うのではなく、契約成立に向けた支援として位置付けられています。つまり、任務を遂行するのはあくまでも当事者であり、そのため本来の利益を損なうことはないと考えられているのです。

結論

双方代理は、特定の条件が満たされない限り無権代理に該当し、法的には無効とされます。しかし、近年の法改正によって、事前の承諾がある場合や事務的な手続きにおいては、その限りではなくなったため、様々なケースに対応する余地が増えました。法律行為やその周辺の理解が深化することで、双方代理の適用範囲についての認識も変わり続けています。

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