双葉病院

医療法人博文会 双葉病院

福島県双葉郡大熊町に所在した精神科病院、医療法人博文会 双葉病院は、東京電力福島第一原子力発電所から約4.5kmという近距離に位置していました。2011年の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の影響で、病院は警戒区域内となり閉鎖を余儀なくされました。

震災と原発事故による閉鎖

2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生。その直後、福島第一原子力発電所事故が発生し、病院周辺は警戒区域に指定されました。2012年12月10日には帰還困難区域となり、病院は閉鎖されました。当時、病院には340人の患者が入院しており、傍系の介護老人保健施設「ドーヴィル双葉」には98人が入所していました。

混乱を極めた避難

地震発生後、病院スタッフは対応を大熊町に要請しましたが、翌12日には大熊町全町民に避難指示が出されました。まず、移送可能な患者209人と医師らがバスで避難を開始。しかし、残る患者・入所者227人と病院長らは、次の救助隊を待機するよう指示されましたが、この情報共有が十分ではありませんでした。

13日には救助隊は来ず、翌14日朝6時半、ドーヴィルの入所者98人と双葉病院の患者34人が自衛隊車両でいわき市の高校へ向かいましたが、移動に14時間を要し、車内で3人、搬送先で21人が死亡するという悲劇に見舞われました。

院長をはじめとする病院スタッフは、電力や水道が使えない状況下で残る95人の患者の看護にあたりました。自衛隊の救援活動も、原発の状況により一時中断を余儀なくされ、行動の遅れが生じました。14日夜には、院長らは福島県警から避難命令を受け、患者を残して移動せざるを得ませんでした。その後、自衛隊が複数回にわたり救援隊を派遣し、患者の搬送を行いましたが、その過程でさらに7人が亡くなり、最終的には50人もの犠牲者が出てしまいました。

誤報と事実

福島県災害対策本部は、避難時に医療関係者が残留していなかったと広報し、一部メディアが「院長が患者を置き去りにした」と報道しました。しかし、実際には医療関係者は避難の指揮を執っており、14日の移動も自衛隊との合流を目指したものでした。後に、県災害対策本部は誤報を認め、訂正を行いました。

いわき市への移転と再開

医療法人博文会は、いわき市鹿島町のいわき開成病院の敷地内に、双葉病院を移転することを決定しました。2022年8月から2期に分けて工事が行われ、2025年秋以降の全面開院を目指しています。

1期工事は2023年9月30日までに完了し、一部が開院。その後、いわき開成病院は閉院しました。2期工事は2024年7月から2025年10月にかけて増築が行われる予定です。

診療科

• - 内科
• - 精神科
• - 神経科

アクセス

移転後の新病院は、JR常磐線の大野駅が最寄りとなる予定です。

脚注

福島県総合医療情報システム
日本精神科病院協会

外部リンク

双葉病院｜福島県総合医療情報システム
双葉病院｜社団法人 日本精神科病院協会

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