反応器

反応器：化学反応を制御する装置

化学工業において、化学反応を効率的に行うための装置を反応器と呼びます。反応器の設計・開発は化学工学の重要な分野である反応工学に属し、様々な種類の反応器と操作方法が存在します。

反応器の種類

反応器は、原料の投入方法と生成物の回収方法によって大きく2種類に分類されます。

1. 回分式反応器

回分式反応器、またはバッチ式反応器では、原料を一度に投入し、反応が完了するまで反応を続け、その後生成物を回収します。実験室で使用されるフラスコやビーカーなどがこれに相当します。反応を繰り返す場合は、各サイクルを個別に扱う必要があります。

2. 連続式反応器

連続式反応器では、原料の連続的な投入と生成物の連続的な回収が行われます。バスタブに水を満たし、水を注ぎながら同時に排水する様子が分かりやすい例えです。工業的な反応では、連続式反応器が圧倒的に多く用いられています。効率が高く、安定した操業が可能です。

さらに、反応器の形状によっても分類されます。

3. 管型反応器

管型反応器は、管の中を流体が流れながら反応が行われる形式です。一般的に連続式操作で使用されます。

4. 槽型反応器

槽型反応器は、撹拌槽の中で反応が行われる形式です。回分式および連続式両方の操作が可能です。

実際には、回分式槽型反応器、連続式管型反応器、連続式槽型反応器の3種類が主要な反応器タイプとして用いられています。

反応器内の流れ

反応器内の流体の流れは、反応効率に大きく影響します。理想的な流れモデルとして、次の2つが挙げられます。

1. 完全混合流れ

完全混合流れでは、反応器内の成分は完全に均一に混合されており、供給された原料は瞬時に全体に拡散されます。出口流体の組成は反応器内部の組成と等しくなります。

2. 押し出し流れ

押し出し流れ（ピストン流れ）では、供給された原料は他の原料と混ざることなく、ピストンで押し出されるように反応器内を流れます。原料濃度を高く保ちやすく、反応効率が高い傾向があります。

現実の反応器では、完全混合流れと押し出し流れの中間的な状態になります。多くの反応は一次反応で記述され、高い原料濃度を維持できる押し出し流れに近い方が反応効率が高いです。

触媒の担持

多くの化学反応では触媒が使用されます。触媒を効率的に反応器内に保持するために、様々な方法が用いられます。

1. 固定層反応器

固定層反応器は、粒状触媒を網状の床に固定するタイプです。コストが低い反面、触媒粒径が大きいため活性が低く、圧力損失も大きくなります。

2. 流動層反応器

流動層反応器は、粉体状触媒を気体流によって流動状態に保つタイプです。

3. 粉流相反応器

粉流相反応器は、触媒が反応流体中に懸濁した状態を保つタイプです。反応効率が高いですが、触媒の回収が困難です。

マイクロリアクター

近年、マイクロリアクターと呼ばれる、微小なチャネル内で反応を行う装置が注目されています。熱伝達効率が高く、反応制御性に優れています。

関連分野

反応器の設計・開発には、化学工学に加えて、流体力学、粉体工学、工業化学などの知識が不可欠です。

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