反撃の蠍団

スコーピオンズ『反撃の蠍団（Unbreakable）』

ドイツが誇る伝説的なヘヴィメタルバンド、スコーピオンズが2004年に世に送り出した通算15枚目のスタジオアルバムが、この『反撃の蠍団（Unbreakable）』です。原題である『Unbreakable』は「壊れない」「打ち破れない」といった意味を持ち、長きにわたるキャリアを経てなお衰えぬバンドの強固な意志と結束、そして力強い音楽性を象徴しています。日本では世界に先駆けて、2004年6月9日に先行リリースされ、日本のファンにとって特別な意味を持つ作品となりました。

本作は、前作から数年の期間を経て発表されたアルバムであり、バンドがそのルーツに回帰し、かつてのようなエネルギッシュでメロディックなヘヴィメタルサウンドを追求した作品として位置づけられています。ルドルフ・シェンカー（ギター）、クラウス・マイネ（ヴォーカル）、マティアス・ヤプス（ギター）といった中心メンバーに加え、当時加入していたジェイムス・コタック（ドラム）も楽曲制作に深く関与しており、バンド全体として高いモチベーションを持って制作に取り組んだことが伺えます。

アルバム全体に流れるのは、ベテランならではの円熟味と、若々しいほどのダイナミズムが同居するスコーピオンズらしいサウンドです。力強いリフ、叙情的なギターソロ、そしてクラウス・マイネの表現力豊かなヴォーカルが、聴く者を魅了します。楽曲のバラエティも豊かで、アップテンポなロックチューンから、心に染み入るバラードまで、スコーピオンズの幅広い音楽性が凝縮されています。

本作に収録されているのは全13曲。さらに、日本盤にはボーナストラックが2曲追加され、合計15曲という充実した内容になっています。各楽曲の作曲・作詞は、主にバンドメンバーであるルドルフ・シェンカー、クラウス・マイネ、マティアス・ヤプス、ジェイムス・コタックが中心となって手掛けていますが、外部の作曲家や作詞家との共作も見られます。以下に収録曲とそのクレジットを記します。

• - ニュー・ジェネレイション - "New Generation" Music: Rudolf Schenker / Lyrics: Klaus Meine
• - ラヴ・エム・オア・リーヴ・エム - "Love 'em or Leave 'em" Music: R. Schenker / Lyrics: James Kottak, K. Meine
• - ディープ・アンド・ダーク - "Deep and Dark" Music: Matthias Jabs / Lyrics: K. Meine, M. Jabs
• - ボーダーライン - "Borderline" Music: R. Schenker / Lyrics: K. Meine
• - ブラッド・トゥー・ホット - "Blood Too Hot" Music: R. Schenker / Lyrics: K. Meine
• - メイビー・アイ・メイビー・ユー - "Maybe I Maybe You" Music: Anoushirvan Rohani / Lyrics: K. Meine
• - サムデイ・イズ・ナウ - "Someday Is Now" Music: R. Schenker / Lyrics: J. Kottak
• - マイ・シティ・マイ・タウン - "My City My Town" Music & Lyrics: K. Meine
• - スルー・マイ・アイズ - "Through My Eyes" Music: R. Schenker / Lyrics: K. Meine
• - キャン・ユー・フィール・イット - "Can You Feel It" Music: J. Kottak / Lyrics: J. Kottak, K. Meine
• - ジス・タイム - "This Time" Music & Lyrics: M. Jabs
• - シー・セッド - "She Said" Music: K. Meine, Christian Kolonovits / Lyrics: K. Meine
• - リメンバー・ザ・グッド・タイムズ - "Remember The Good Times" (Retro Garage Mix) Music: R. Schenker, Eric Bazilian / Lyrics: K. Meine, E. Bazilian

日本盤ボーナス・トラック

• - ドリーマー - "Dreamer" Music: K. Meine, R. Schenker, E. Bazilian / Lyrics: K. Meine, E. Bazilian
• - トゥー・ファー - "Too Far" Music: M. Jabs / Lyrics: M. Jabs, K. Meine

『反撃の蠍団（Unbreakable）』は、そのタイトルに偽りなく、長年にわたる活動で培われたスコーピオンズの「壊れることのない」音楽的基盤と、新たな時代における挑戦意欲が見事に融合した作品と言えるでしょう。ヘヴィメタル界の重鎮が放った、その名にふさわしい力強さと普遍的な魅力を持つアルバムとして、スコーピオンズのディスコグラフィーにおいて重要な位置を占めています。

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