反革命十字軍

反革命十字軍

反革命十字軍（はんかくめいじゅうじぐん）は、1791年にスウェーデンの国王グスタフ3世がフランス革命に対する軍事干渉を呼びかけた計画を指します。この提案は、革命がフランスのカトリック教会を弾圧し、国王ルイ16世一家の生命が危険に晒される中で行われました。グスタフ3世は、革命勢力が王政を脅かす存在になることを懸念し、ヨーロッパの他国に対して武力による革命の阻止を求めました。

当時、スウェーデンはロシア帝国と第一次ロシア・スウェーデン戦争を戦っていました。そのため、グスタフ3世は早急にロシアとの戦争を終結させ、フランス革命への干渉を図ろうとしました。彼はフランス王妃マリー・アントワネットとの親交があったフェルセン伯爵を使い、自らの計画を進めます。1791年6月14日、彼は王妃一家の脱出に成功することを期待し、アーヘン向けに出発しましたが、ヴァレンヌ事件によって王家は捕らえられてしまいます。

ヴァレンヌ事件が報告されると、グスタフ3世は事態の深刻さを認識し、反革命十字軍の結成を急ぎました。彼は亡命したフランス貴族（エミグレ）に支持を呼びかけ、各国の協力を得るために活動を始めますが、革命への干渉に慎重な各国との交渉はうまくいかず、7月末にはスウェーデンに帰国しました。ただ、彼は反革命軍の結成をあきらめてはおらず、再び動き出すことになります。

さらに、ロシア皇帝エカチェリーナ2世が反革命軍の構想に賛同し、グスタフ3世はスウェーデン・ロシア軍によるフランスへの上陸作戦を画策しました。1792年10月1日にはロシアとの軍事同盟も締結しますが、スウェーデン国内には反革命に賛同する者が少なく、またロシアも露土戦争に注力しているため、計画は実現に至りませんでした。

このように、反革命十字軍は多くの困難に直面しました。最終的には、1792年3月にグスタフ3世が仮面舞踏会で暗殺されることで、この計画は完全に終焉を迎えました。彼の死後、スウェーデン政府はフランス革命への干渉を完全に停止せざるを得なくなりました。

影響と評価

反革命十字軍は、当時のヨーロッパ諸国における革命の波に対抗する試みに過ぎなかったものの、革命的な動きがどのように他国へ影響を及ぼすかを示す事例となりました。グスタフ3世の暗殺は、スウェーデン王国における政治的不安定さを生じさせ、更なる災厄の原因となりました。また、フランス革命が他の国々にも広がる中で、反革命の試みは無力であったことが歴史的に示されています。彼の生涯や治世は後の王政、特にナポレオン戦争においても重要な影響を与えました。

もう一度検索