収奪された大地 ラテンアメリカ五百年

収奪された大地 ラテンアメリカ五百年

エドゥアルド・ガレアーノによる著書『収奪された大地 ラテンアメリカ五百年』は、1971年に出版された重要なルポルタージュであり、ラテンアメリカの歴史を包括的に描写しています。この作品は、作者自身の経験と extensive な調査を元にして、クリストーバル・コロンの新大陸「発見」から1970年代までのラテンアメリカの社会、経済、政治の変化を探ります。

植民地時代からの歴史的経緯

ガレアーノは、ラテンアメリカがスペインやポルトガルの植民地支配によってどのように収奪され続けたかを詳述します。ポトシやサカテカス、グアナフアトなどの銀鉱山、さらにブラジルやカリブ地域でのサトウキビプランテーションの収奪は、地域の経済に深刻な影響を与えました。これらの資源は欧州に流出し、現地の人々は労働力として利用される一方で、長期にわたる経済的依存を強いられることとなります。

従属論の視点

著書はまた、イギリス帝国の影響を受けたラテンアメリカの独立後、国内の経済は新たな隷属状態を迎える様子も描かれています。アメリカ合衆国による経済進出の影響は特に顕著であり、従属論の観点からこの問題にアプローチしています。特に、アンドレ・グンダー・フランクの従属論を基に、ガレアーノはラテンアメリカ諸国がどういった形で国際経済に組み込まれ、資源の供給地として扱われてきたのかを考察しています。

タイムリーな評価

この本は出版当初から高い評価を受け、ザ・ライブラリー・ジャーナル・スタンダードからは「良く書かれ、情熱的に述べられた知的誠実さを持つ価値ある研究」と評されています。ガレアーノは、情報収集に4年を費やし、90夜の執筆をもってこの大作を完成させたと述べています。

亡命と発禁

著書が発表された1973年、ウルグアイではトゥパマロスの弾圧が強化され、ガレアーノは亡命を余儀なくされました。アルゼンチンでも軍事政権によりこの本は発禁処分となり、左翼的な内容として政府に非難されましたが、時が経つにつれ、その重要性は増していきました。

大衆文化への影響

1970年代以降、この書籍はラテンアメリカの学生や若者の必読書として位置づけられ、多くの人々に読まれる存在となりました。特に、ベネズエラの大統領ウゴ・チャベスがアメリカのオバマ大統領にこの本を贈ったことで、一躍注目を浴び、Amazonでの売り上げは急上昇しました。

結びに

『収奪された大地 ラテンアメリカ五百年』は、ラテンアメリカの歴史を通じて現代社会の構造を理解するための欠かせない資料であり、経済のグローバリゼーションがもたらす問題を考えるための重要な視点を提供してくれます。ガレアーノの鋭い観察力と感受性は、今なお多くの読者に影響を与え続けています。

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