取り木

取り木とは

取り木（とりき）は、植物の人工的な繁殖方法の一つで、親となる植物の枝や根の一部を発根させ、そこから新たな株を得る技術です。種子を使わない繁殖法であるため、挿し木や接ぎ木とともに「栄養繁殖」と総称されています。

取り木の歴史

栄養繁殖の起源は定かではありませんが、古代メソポタミアでは、川の氾濫後にヤナギの枝が再生したり、倒れたナツメヤシが復活したりする様子が観察されていたと推測されています。また、チャールズ・ダーウィンの航海日誌には、チリの先住民がリンゴの枝が地面に触れて根を生やしたものを苗木として利用していたという記述があります。これらの事例から、取り木は古くから世界各地で実践されてきた技術であることがわかります。

取り木の方法

取り木には、主に以下の方法があります。

1. 根元からの取り木：親株の根元付近に生えている、すでに根が付いている幼枝を切り離して苗木にする方法です。自然に発根したものを利用するため、比較的容易に増殖できます。
2. 埋め込み取り木：親株の若い枝を人為的に土に埋め、発根を促して苗木にする方法です。枝の一部を土に埋め、定期的に水やりをすることで発根を促します。
3. 根からの取り木：親株の根の一部を地表に露出させ、そこから発芽・発根させて苗木にする方法です。根の一部を傷つけ、発根を促します。
4. 高取り：親株の枝を、土を入れた容器（かごなど）に通し、その中で発根させて苗木にする方法です。特に樹木の上部で行う場合、家畜からの食害を防ぐために有効とされています。フジ、サクラ、ツバキ、レンギョウなどの樹木でよく用いられ、枝の皮を剥ぎ、湿らせた水苔で包んでビニールで覆い、発根を促します。発根後、親株から切り離して苗木とします。

取り木のメリット

• - 親株の性質をそのまま受け継ぐため、優良な性質を持つ株を効率的に増やせる。
• - 種子繁殖に比べて、開花や結実までの期間を短縮できる場合がある。
• - 挿し木が難しい植物でも、取り木であれば繁殖できる場合がある。

取り木のデメリット

• - 一度に大量の苗木を生産することが難しい。
• - 親株から切り離す際に、失敗するリスクがある。
• - 植物の種類によっては、取り木での繁殖が難しい場合がある。

取り木が利用される植物

取り木は、様々な植物で利用されています。特に、挿し木が難しい植物や、枝が柔軟な植物で有効です。代表的なものとして、リンゴ、フジ、サクラ、ツバキ、レンギョウなどが挙げられます。

関連事項

• - 植物の繁殖方法一覧
• - 挿し木
• - 接ぎ木
• - 茎伏せ

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