古参近衛隊

古参近衛隊について

古参近衛隊（こさんこのえたい、フランス語：La Vieille Garde、英語：The Old Guard）は、フランス第一帝政時代における陸軍の精鋭部隊であり、一般的にはナポレオンの大陸軍内の最高部隊を指します。この部隊は、日本語では「老親衛隊」とも訳され、その名の通り、長年の経験を積んだ兵士たちで構成されています。

部隊構成

古参近衛隊は、さまざまな部隊によって成り立っています。主な内訳には、第1近衛猟歩兵連隊、第1近衛擲弾兵連隊、近衛猟騎兵連隊、近衛擲弾騎兵連隊、皇后竜騎兵連隊、さらには近衛砲兵隊や他の近衛隊の下士官たちが含まれます。これにより、近衛隊は多様な戦術的役割を持ち、その戦闘力の高さと士気の高さで知られています。

起源と発展

古参近衛隊の起源は、ナポレオンがイタリア遠征軍を指揮していた頃の護衛隊に遡ります。当初は騎兵部隊だけで構成されていましたが、後に執政時代において歩兵部隊が加入し、近衛隊の原型が形成されました。帝政が始まると、部隊は次第に拡大し、強固な戦力へと変貌を遂げました。特に、古参のベテラン兵たちが中心となり、高い忠誠心と戦闘能力を誇示しました。

ナポレオンとの絆

古参近衛隊は、ナポレオン1世と独特の絆で結ばれていました。彼らはナポレオンに強い忠誠を誓い、数々の戦闘でその存在感を示してきました。特に「黒い熊毛帽の森」や「無敵の古参近衛隊」という名は、敵軍に恐怖を与える一方で、味方にとっては安心感をもたらしました。

1814年、ナポレオンがフォンテーヌブロー宮殿で退位を宣言した際、近衛隊の兵士たちは彼との別れを惜しみました。その情景は、「フォンテーヌブローの訣別」として知られ、彼らの強い絆を象徴しています。近衛隊はエルバ島にもナポレオンについて行き、百日天下でも彼を支え続けました。

ワーテルローの戦い

ワーテルローの戦いにおいては、古参近衛隊の活躍が注目されました。元帥ネイが近衛隊の投入を要請したものの、ナポレオンはこれを躊躇しました。歴史的には、この判断が敗北の一因とも言われていますが、実際にはすでにプロイセン軍との接触があり、ナポレオンの手元には大きな兵力が残っていなかったのです。近衛軍団は、イギリス軍との接触があったモン・サン・ジャン高地に突撃しましたが、敵に阻まれ撃退されました。

最期の戦い

敗北が明らかになった後も、古参近衛隊は戦場に留まり、退却を試みる味方を援護しました。連隊長カンブロンヌ将軍は、「近衛隊は死すとも降伏せず」という名言を残し、戦士たちはその信念に従って降伏を拒みました。実際には、彼の口からは別の言葉が発せられたとも言われていますが、彼らの信念は揺らぐことがありませんでした。

1840年、ナポレオンの遺体がパリに帰還した際には、古参近衛隊の生き残りが軍服を着て参加し、その歴史を物語りました。彼らの忠誠と勇気は、フランスの軍史に名を刻みました。古参近衛隊の存在は、ナポレオンの時代を象徴するものとして、今でも語り継がれています。

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